2018/06/05 改訂版 「親を捨てよ 家を出よう」「大学には行った方がいいの?」「好きなことをして生きるは正解か」を追記

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古今東西の名作や大好きな小説を紹介。

最初の妻 アデライーダ・イワーノヴナ (ドミートリィの母親)

アデライーダ・イワーノヴナは、かなり裕福な名門の貴族で、やはり当郡の地主であったミウーソフ家の出であった。 才気煥発な当世風のお嬢さんが、当時みなから≪愚図のひょうろく≫などと呼ばれていたつまらぬ男との結婚などに踏み切れたのか、そのわけはくどくどと説明しないことにする。 おそらく彼女は女性の独立を地 […]

アデライーダ・イワーノヴナの死とフョードルの狂喜

ヒョードル・パーヴロヴィチは、妻の死を知ったときは酔っぱらっている最中だったが、だしぬけに表へ走り出て、喜色満面、両手を高く天に差しのべながら、「大願成就」とわめき立てたという。もっとも、ほかの人の話によると、まるで小さな子供のようにおいおい泣きじゃくるので、実にいやらしいやつだと思いながらも、見て […]

第2節 長男を厄介払い ミーチャの後見人となるミウーソフのこと

このような男が養育者、父親としてどうだったかは、むろん、容易に想像がつくだろう。 わが家を淫蕩の巣窟に変えてしまったこと、三歳になるミーチャ少年(ドミートリィ)の世話を家って出たのは、この家の忠僕なるグリゴーリィで、もし当時グリゴーリィが面倒を見てやらなかったら、子供の肌着を替えてやるものもなかった […]

第2節-2 ドミートリィという息子 カネ、カネ、カネの父子関係

フョードルの三人の息子のなかでは、このドミートリィひとりが、幼いころから、自分にはともかくもなにがしかの財産があり、成人に達したら独立できるという確信をもっていたことがある。 少年時代、青年時代は、ちゃらんぽらんに過ごした。高等中学を中退して、その後、ある軍関係の学校に入り、やがてコーカサスに行って […]

第五編 第三節-2 イワン・生への渇望

いったいこの世界に、ぼくの内部のこの狂おしいばかりの、おそらくはあさましいまでの生への渇望をたたきつぶせるほどの絶望があるものだろうかってね、そして、どうやらそんな絶望はないらしいと結論を出してしまったんだ。といっても、やはりこれも三十歳までの話で、それを過ぎたらもうそんな意欲も起きなくなるだろうが […]

第五編 第三節-3 論理以前に愛するんです。絶対に論理以前に。

ぼくはね、アリョーシャ、ヨーロッパへ行きたいんだ、ここからまっすぐ行くつもりさ。 そりゃぼくは、自分の行き先が墓場にすぎないことは百も承知さ、しかしこれは何よりも、何よりも貴重な墓場なんだ。そこには貴重な人たちが眠っていて、その上に置かれている破壊しはどれも、過ぎし日々、熱烈に生きた人生を語っている […]

第五編 第三節-4 カインとアベルのたとえ話

アリョーシャは、父とドミートリィの確執を憂い、イワンが早々と去ってしまうことに強い不安を感じている。 それ以前に、ゾシマ長老から不吉な予兆について聞かされたのも、心に大きな影を落としていた。 「兄さんはほんとうにそんなに急に出発するんですか?」 「うん」 「じゃ、ドミートリィとお父さんはどうなるんで […]

第五編 第三節-5 神は人間が考え出したもの ~地上的な頭脳で考える

料亭『みやこ』で向かい合うイワンとアリョーシャ。兄弟らしい、互いをいたわる会話の後、イワンが切り出す。 「それよりどうだい。何からはじめる? おまえから決めてくれよ。――神からにするかい? 神は素材するや否や? からかい」 「どちらでも好きなほうからはじめてください。別の一端からでもいいですよ。だけ […]

第五編 第四節-2 慈愛あればこその無神 子供の涙はいつ報われるのか?

ある意味、イワンの神への不信は、政治や司法に何の期待もできなかった時代の虚無感であり、だからこそ、イワンのような当時のロシアの若者(あるいは知的階級)が、宗教ではなく、政治に変革を求めた動機も頷ける。祈っても無駄、政治体制や法律を変えない限り、こうした不幸はなくならないと。その極端な形が社会主義革命だったのだろう。

第五編 第4節-1 人間は近づきすぎると愛せない

『ぼくはこの神の世界を認めないんだ』というイワン。長兄のドミートリィに『墓石(無口)』と呼ばれ、一見、心の冷たそうなイワンだが、アリョーシャに対しては兄弟らしい情を示し、聞き上手なアリョーシャを相手に、素直に自身の考えや葛藤を語る。 「ぼくは身近な人間をどうして愛することができるのか、どうやってもわ […]

閑談1:『カラマーゾフの兄弟』執筆の背景

これは私の所感だけど、『カラマーゾフの兄弟』を読む時は、「流れのある大河ドラマ」として捉えるよりも、「連続した短編」と見た方が分かりやすい部分もある。 もちろん、大元のプロットは存在するけども、信心のうすい婦人の打ち明け話が入ったり、ゾシマ長老の思い出語りが入ったり、その都度、流れが中断するから、『 […]

第3節 再婚と腹ちがいの兄弟 イワンと自己卑下と父にとっての大審問官

貧しい神学生と駆け落ちした妻が亡くなり、『大願成就』すると、フョードルは薄幸の若い女性ソフィヤ・イワーノヴナを再婚する。 身寄りのないソフィヤは、ヴィロホフ将軍の有名な老未亡人の裕福な家庭で成長するが、十六歳の時、老夫人の苛めを苦に自殺を図る。 そうした弱みにつけ込み、フョードルは若くて美しいソフィ […]

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