2018/06/05 改訂版 「親を捨てよ 家を出よう」「大学には行った方がいいの?」「好きなことをして生きるは正解か」を追記

Novella

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第一編 第二節 長男を厄介払い カネ、カネ、カネの父子関係

父親に厄介払いされた長男ドミートリィは幼少時からたらい回しにされ、金で周囲の歓心を買う、無節操な人間に育っていく。自分の父親が金持ちの小地主と知った途端、実際以上の資産を受け継げるものと勘違いし、金勘定に長けた父親が自分を騙そうとしていると逆上したところから悲劇が始まる。

第六編-1 人間の孤立の時代と偉大な思想を絶やさぬ試み

なぜなら今世紀においては万人が個別に分裂して、だれもが自分の穴に閉じこもろうとし、だれもが他人から遠ざかって、自分の身も、自分の所有物も他から隠そうとし、あげくは自分が他の人々に背を向けられ、逆に自分も他の人々に背を向ける結果になっているからです。ゾシマ長老の説教は、ドストエフスキーから全人類に向けた遺言でもある。

閑談1『カラマーゾフの兄弟』執筆の背景

これは私の所感だけど、『カラマーゾフの兄弟』を読む時は、「流れのある大河ドラマ」として捉えるよりも、「連続した短編」と見た方が分かりやすい。 大元のプロットは存在するが、信心のうすい婦人の打ち明け話が入ったり、ゾシマ長老の思い出語りが入ったり、その都度、流れが中断するからだ。 『流れ』を追おうとすれ […]

第一章 第三節 イワンと無神論 自己卑下と高い知性が結びつく時

第一章 第三節 再婚と腹ちがいの子供たち 先妻のアデライーダが亡くなると、フョードルは薄幸の若い女性ソフィヤ・イワーノヴナと再婚する。 身寄りのないソフィヤは、ヴィロホフ将軍の有名な老未亡人の裕福な家庭で成長するが、十六歳の時、老夫人の苛めを苦に自殺を図る。 そうした弱みにつけ込み、フョードルは彼女 […]

第4節 三男アリョーシャ 鷹揚さと生きやすさ 聖痴愚に関する注釈

生まれた時から放置され、従僕に預けられたり、四度も住まいを変えたり、子供らしい幸福な思い出が皆無な長男ドミートリィ、大事に養育されるが他家の世話になっている引け目から気むずかしい性格になる次男イワンと異なり、アリョーシャだけは優しい生母の記憶を宿らせ、周りから愛されて真っ直ぐに育つ。 作中にも、「自 […]

第5編 ProとContra 第三節 兄弟相識る

料亭『みやこ』での語らいはこちらを参照のこと。 江川卓 イワン&アリョーシャと楽しむ『カラマーゾフのロシアンティー(さくらんぼのジャム)』 アリョーシャは、金銭問題と兄弟らの恋愛関係についてカチェリーナと話し合った後、ドミートリィに会うつもりで料亭『みやこ』に出掛けるが、そこには先にイワンが居て、兄 […]

第五編 第三節-2 イワン・生への渇望

いったいこの世界に、ぼくの内部のこの狂おしいばかりの、おそらくはあさましいまでの生への渇望をたたきつぶせるほどの絶望があるものだろうかってね、そして、どうやらそんな絶望はないらしいと結論を出してしまったんだ。といっても、やはりこれも三十歳までの話で、それを過ぎたらもうそんな意欲も起きなくなるだろうが […]

第五編 第三節-3 論理以前に愛するんです。絶対に論理以前に。

ぼくはね、アリョーシャ、ヨーロッパへ行きたいんだ、ここからまっすぐ行くつもりさ。 そりゃぼくは、自分の行き先が墓場にすぎないことは百も承知さ、しかしこれは何よりも、何よりも貴重な墓場なんだ。そこには貴重な人たちが眠っていて、その上に置かれている破壊しはどれも、過ぎし日々、熱烈に生きた人生を語っている […]

第五編 第三節-4 カインとアベルのたとえ話

アリョーシャは、父とドミートリィの確執を憂い、イワンが早々と去ってしまうことに強い不安を感じている。 それ以前に、ゾシマ長老から不吉な予兆について聞かされたのも、心に大きな影を落としていた。 「兄さんはほんとうにそんなに急に出発するんですか?」 「うん」 「じゃ、ドミートリィとお父さんはどうなるんで […]

第五編 第三節-5 神は人間が考え出したもの ~地上的な頭脳で考える

料亭『みやこ』で向かい合うイワンとアリョーシャ。兄弟らしい、互いをいたわる会話の後、イワンが切り出す。 「それよりどうだい。何からはじめる? おまえから決めてくれよ。――神からにするかい? 神は素材するや否や? からかい」 「どちらでも好きなほうからはじめてください。別の一端からでもいいですよ。だけ […]

第五編 第四節-2 慈愛あればこその無神 子供の涙はいつ報われるのか?

ある意味、イワンの神への不信は、政治や司法に何の期待もできなかった時代の虚無感であり、だからこそ、イワンのような当時のロシアの若者(あるいは知的階級)が、宗教ではなく、政治に変革を求めた動機も頷ける。祈っても無駄、政治体制や法律を変えない限り、こうした不幸はなくならないと。その極端な形が社会主義革命だったのだろう。

第五編 第4節-1 人間は近づきすぎると愛せない

『ぼくはこの神の世界を認めないんだ』というイワン。長兄のドミートリィに『墓石(無口)』と呼ばれ、一見、心の冷たそうなイワンだが、アリョーシャに対しては兄弟らしい情を示し、聞き上手なアリョーシャを相手に、素直に自身の考えや葛藤を語る。 「ぼくは身近な人間をどうして愛することができるのか、どうやってもわ […]

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