2018/06/05 改訂版 「親を捨てよ 家を出よう」「大学には行った方がいいの?」「好きなことをして生きるは正解か」を追記

石岡瑛子さん追悼 フランシス・コッポラの映画『ドラキュラ』~不滅の愛を描く~

石岡瑛子さん追悼 フランシス・コッポラの映画『ドラキュラ』~不滅の愛を描く~

フランシス・コッポラの異色作『ドラキュラ』の魅力を解説しています。

ドラキュラといえば、ゴシックホラーの金字塔ですが、コッポラの描くドラキュラは単なる怪物ではなく、妻を深く愛するがゆえ、心ならずも神を呪って、永遠の渇きに苦しむ愛の亡者として描かれています。

石岡瑛子さんの訃報に寄せて

石岡瑛子さんと言えば、真っ先に思い浮かぶのが、フランシス・コッポラの映画『ドラキュラ』の衣装。

上品で優雅なラインの中にもゴシック・ホラーにふさわしい妖艶さと陰影があり、わけてもヒロイン、ミナの親友で、ドラキュラの餌食にされたルーシーの「死の花嫁衣装」が抜群に素晴らしかった。

まるでスペインの王女を思わせるような大輪のカラーとレース作りのヴェールが無造作に歪み、唇の端から紅い血がひとしずく。古びた地下墓地の階段に白いドレスが波打つように広がり、その中を吸血鬼となったルーシーが幽霊のような足取りで降りてくる……。

映画のコマーシャルでも繰り返し流された場面だけに、『ドラキュラ』といえば、この場面を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。


ルーシーの衣装だけでも、石岡さんがこの作品でアカデミー賞を受賞されたのは当然に感じるし、同じ日本人として誇らしかった。

そんな石岡さんの訃報に悲しみを感じたのは、コッポラの『ドラキュラ』に魅了されたすべての人に共通の思いではないだろうか。

石岡瑛子 衣装デザイン集

ドラキュラに魅入られるミナ。彼女は、ドラキュラ最愛の妻、エリザベスに瓜二つだった。

19世紀の英国らしい上品な色使い。タイトなデザインは、教師であるミーナの知的な部分を強調している。

石岡瑛子 ドラキュラ

石岡瑛子 ドラキュラ

ルーマニアの貴族としてミナの前に現れるドラキュラ。シルクハットと胸元のアクセサリーに富貴な印象が。
黒い眼鏡をかけているのは、ファッションもあるけれど、日光の下ではドラキュラも視力が弱い……ということかもしれませんね。

石岡瑛子 ドラキュラ ゲイリー・オールドマン

ドラキュラに魅入られる前の無邪気な一時。
天真爛漫としたルーシーと、お堅い教師であるミナの違いが対照的なデザイン。

石岡瑛子 ドラキュラ

古城に暮らす老貴族として登場するドラキュラ。薄暗い古城の中で、鮮やかな緋色が血のように際立って見える。
なおかつ貴族の格を思わせる、絢爛とした衣装。

石岡瑛子 ドラキュラ ゲイリー・オールドマン

石岡瑛子 ドラキュラ ゲイリー・オールドマン

ドラキュラと交わって超能力を得たミナが、追っ手からドラキュラを救うため、竜巻を起こす。
ボディラインを強調したデザインながら、袖口が大きく開き、振り袖のように風になびく。
深緑のベルベットと光沢のある生地の対比が見事。
ミナのイメージは、一貫して、グリーンなのです。

石岡瑛子 ドラキュラ ウィノナ・ライダー

石岡瑛子 ドラキュラ ウィノナ・ライダー

ルーシーに求愛する三人の若者。いずれも上流階級のプレイボーイだが、ルーシーを守るため、ドラキュラに果敢に立ち向かう。
真ん中のホルムウッド郷(=ケアリー・ウェルブス)は爵位のある人らしく、両隣の二人とはちょっとばかりお召し物が違う。

石岡瑛子 ドラキュラ

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