Google Booksとは何か
一時期、著作権侵害で問題視され、新規登録を中止していたGoogle ブックスですが、いつの間にか募集を再開していました。
最近、検索結果でも、Google ブックスの書籍が上位表示されるようになり、ぐんぐん勢いを盛り返している印象です。
しかも、プレビュー版のウィジェットの埋め込みもできる。
ウィジェット内で、全文検索も可能。
目次もワンクリックで確認できます。
オンラインストレージのPDF埋め込み機能をはるかに超えます。
以前、著作権侵害で問題になったのは、この《プレビュー機能》と《全文検索》が主な原因です。
Google ブックスの場合、全文検索でヒットした箇所の前後20パーセント、あるいはそれ以上を、無料でプレビューする為、一部の著者や出版社から、「著作権侵害だ!」と強い反発があったんですね。
しかし、本探しも購入も、ネット頼みの現代は、「冒頭の試し読み」「第一巻 無料」も当たり前の時代です。
デジタルコンテンツは、紙の書籍のように、店頭で実物を手に取って、中身をぱらぱらと確認することができませんから、何らかの方法で、プレ購読者に内容を表示するのは当然のサービスです。
導入部や第一巻が面白ければ、続きで購入してくれる人もあるでしょう。
無料の試し読みは、販売促進の一環。
著作権侵害などと言い出したら、YouTubeで無料視聴が当たり前のミュージシャンなど、泣くに泣けないですよね。
それでも、ライブ動員やグッズ販売で売り上げを伸ばしている人もあるのですから、著者もプレビュー機能を上図に使えば、逆にチャンスが広がるのではないかと思います。
何と言っても、《全文検索》は、コンテンツを知ってもらう為の最強のツールです。
ユーザーの「気になるキーワード」が自著にヒットするかもしれないのです。
書店に並んでいる紙の書籍だと、そうはいきません。
存在すら気付かれない本が大半でしょう。
でも、自著のコンテンツが検索結果として表示されたら、それを求める人に、ダイレクトに届けることができます。
購入するか否かは別として、タイトル、著者名、コンテンツの内容を知ってもらえることは、何にもまさる宣伝ですよ。
しかも、Googleのコンテンツですから、他のWEBサイトに比べて、圧倒的優位です。
実際、私も、いろいろ調べ物をしていて、Google ブックスにヒットする機会が多くなりました。
これもKindleストアと大きく異なる点です。
Kindleは、有名作家や大手出版社の作品しかプッシュしません。それでも、知ってもらえるのは、タイトルと概要ぐらいです。「なか見! 検索」も、実際に確認できるのは、「中扉」と「目次」と「はじめに」の数ページぐらい。これでは決定的な買いの決め手にはならないですよね。
その点、Google ブックスは、全文検索において、有名・無名に関係なく、チャンスがあります。
キーワード(ユーザーの興味)とコンテンツが一致すれば、検索結果に表示されるのですから。
確かに、「20パーセント」といえど、結構な量です。
人によっては、「ものすごく損した」と感じるかもしれません。
しかし、有名ミュージシャンでも、新曲まるまるYouTubeにUPして、プロモーションする時代です。
作家だけが出し惜しみして、「侵害、侵害」と騒ぐのも、時代遅れではないでしょうか。
プレビューするからこそ、プレ購読者も安心だし、内容が確かであれば、チャンスも信用度も高まります。
興味のある方は、ぜひトライしてください。
ePub、PDF、表紙用の画像ファイル、Googleから振り込み可能な銀行口座、Googleアカウントさえあれば、いつでも始めることができます。
Google ブックスに発行者の新規登録する
新規登録は、Googleアカウントさえあれば、誰でも数分で完了します。
下記の登録URL、もしくは、『Google ブックス ヘルプ』のURLからアクセスして、登録手続きを開始します。
https://play.google.com/books/publish/?apply=Click+Here+to+Apply&hl=ja
https://support.google.com/books/partner#topic=3424344
段取りは、Kindleより分かりやすいです。
どんどん、画面を進んで、発行者の個人情報、および銀行情報を登録するだけです。
Google ブックスに電子書籍を登録する
発行者の登録が完了したら、続いて、電子書籍を登録します。
Google Play ブックス パートナーのメニューから、「書籍カタログ」を選択。
+ 書籍を追加をクリックして、手続き画面に進みます。
書籍の登録は二種類。
Google Playで電子書籍を販売する
Google ブックスのみでプレビューを提供する
後者は、すでに別のショップで電子書籍を販売しており、Googleの全文検索に書籍の内容だけを反映したい人の為のオプションです。
「販売」を選択した人は、すでに取得しているISDNやASINを登録するか、もしくはGoogle 書籍 ID(GGKEY)を取得するを選択します。
続いて、書籍の情報を登録します。
タイトルと概要ですね。
Kindleよりはるかに簡単です。(Kindleは、カタカナだの、ローマ字だの、登録する項目が多い)
続いて、ジャンルの選択。
Kindleでカテゴリーに相当するものです。
Kindleはちゃんと登録しても、その通りに反映されることがなく、発行後にいちいち運営者に問い合わせて、カテゴリーの修正を依頼しなければなりませんが、Google ブックスはラクな上に、四つ以上選択できます。
欲張って、異なるジャンルに登録しても、読んだ人からクレームの一つ星をつけられて、評価が下がる恐れもあるので、チートはしない方がいいです。
続いて、Google Playと、Googleブックス検索で、書籍をどのように表示するかを指定します。
DRM暗号化と、プレビューの上限と、コピー/貼り付けの上限は非常に重要なので、よく考えて、設定して下さい。
分からない人は、とりあえず(推奨)にしておけば間違いないです。
Googleブックス検索では、「WORLD」(全世界対象)にして、自サイトのURLやSNSアカウントを入れておけばいいと思います。
コンテンツと表紙のアップロード
『コンテンツと表紙』からファイルをアップロードをクリックして、表紙とコンテンツのepub、pdf ファイルをアップロードします。
アップロードできるファイルの種類は、ファイルとアップロードの概要を参照のこと。
ePubとPDFの二種類を提供できるのも、Kindleとは異なる利点です。
.pdf (詳しくは、.pdf ファイルの設定をご覧ください) → 固定型
.epub(詳しくは、.epub ファイルをご覧ください) → リフロー形式
.jpeg、.tiff、.pdf、.png(表紙のみ)
コンテンツと表紙のファイルをアップロードする → 「探す」 で、ファイルを指定して、アップロード。
ファイルが大きい場合、結果が反映されるまで(「処理中」のメッセージが消えるまで)、数分かかります。
画面をリロードせずに、しばらくお待ちください。
ファイルを正常にアップロードしても、書籍の承認まで、数日かかります。
アラートが解消されるまで、辛抱強く待ちましょう。
万一、epubファイルなどにエラーが存在する場合、下図のようなメッセージが出るので、一つずつ修正します。
epubには、< center >タグが使えないんですね。知りませんでした^^;
エラーの告知(ファイル分析)も、Kindleより、格段に上をいってます。
Kinleは「書籍ファイルに異常があります」だけで、運営元に問い合わせても、どこが、どう間違っているのか、何一つ回答はありません。
さすがGoogleは、epubのソースコードも検証して、訂正案も提示してくれます。
あとは、審査が完了して、公開可能になるまで、辛抱強く待ちましょう。
ファイル処理が正常に完了すれば、こういうメッセージに変わります。
エラーが出て、登録手続きが進まない場合 ePubを検証する
ePubの内容によっては、何度、ファイルをアップロードしても、エラー続きで、書籍を登録できないこともあると思います。
そんな時は、ePubチェッカーを使って、正しくHTML構文やタグが記入されているか、検証しましょう。
細かな所までタグを検証してくれる無料のオンラインツールやソフトウェアの使い方は、下記ページに紹介しています。
https://novella.onesigli-ichitaro]Google ブックスのメリット
検索エンジンに強く、人の目に留まりやすい
Kindleと決定的に違うのは、書籍の全文がGoogleの検索botにクロールされて、検索結果に反映される点でしょう。
しかも、ドメインは、book.google.(国コード) で、新規ドメインや独自ドメインより、はるかに強いです。
実際、私も、book.google.(国コード) のコンテンツを目にする機会が増えました。
「なんで有料コンテンツを無料公開しなければいけないの」「私の有料コンテンツは1ページだって閲覧されたくない!」という人には向きませんが、上記にも書いた通り、今は、「冒頭だけ試し読み」「第一巻 無料」は当たり前の時代です。
店頭で中身が確認できないデジタルコンテンツだからこそ、少しでも中身を見せることが、信用と売り上げに繋がるのではないでしょうか。
実際、音楽業界は、YouTubeでプロモーション → ライブ動員、グッズ販売、サブスクリプションでV字回復しているのですから、書籍だけ「見せない、読ませない」というのは、あまりにナンセンスだと思います。
私も一人の購読者として、「書店で手に取っても、買わない」「ブックオフで立ち読みして終わり」ということが普通にあるので、Google ブックスのプレビュー機能もそれと似た位置づけと考えています。
それに、Google ブックスのプレビュー機能は、ウェブサイトに不用意にテキストやPDFを公開するより、はるかに安全です。
Googleの威信にかけて、コンテンツプロテクトしてますから。
(Google ブックスから、違法ダウンロードやコンテンツコピーが可能になれば、それこそ著作権侵害で訴えられて、莫大な賠償金です)
一度、プレビュー画面を見てもらえばわかりますが、PCのブラウザを全画面表示しても、コンテンツが読みにくい仕様になっています。
一段落を読むにも、画面を何度もスクロールして、ページを上下する必要があります。
スクショや写真を撮っても、文章が上下で切れるなら、意味が無いですよね。
一方、Kindleは、書籍登録しただけで、中のコンテンツが人の目に留まることはありません。
優先的にプロモーションされるのも、有名作家や大手の出版社に限られていますし、「なか見! 検索」も、実際に確認できるのは、中扉と目次だけだったりします。読者が本当に知りたい本文が確認できないことには、購買への決定打にはなりません。
また、自家版にいたっては、その場で中身が確認できないのをいいことに、「タイトル詐欺」「表紙釣り」も多いです。
キャッチーなタイトルにつられてダウンロードしてみたら、中身スカスカの、ツイートの寄せ集めみたいな本だった……というケースも多いのではないでしょうか。
その点、Google ブックスは、その場でコンテンツが確認できるので、中身で勝負したい発行者にとっては信用を得やすいですし、購読者にとっても安全です。
無料でプレビューすると売り上げが減る、と心配される方も多いですが、実際には逆で、満足度の高いお客さんが獲得できるのではないでしょうか。
ちなみに、検索結果の一例です。
『海底鉱物資源』という、非常にニッチなキーワードで検索すると、 Googleブックが3番目に上位表示されます。
これもKindleストアでは考えられない検索結果です。
ちなみに、私はこの本を資料として購入しとります。
さらに、「地底からの熱水が金や銀を吹き出している」という、文中のキーワードで検索しても、ちゃんと1番目に上位表示されます。
Googleが中のコンテンツをしっかり読み取って、インデックスしている証拠です。
実際の、書籍のプレビュー。
ちなみに、縦書きPDFは、どれほど分量があっても、中の文章はクローラーが正しく認識しません。
何故なら、PDFの縦書きは、いわば物理的に縦方向に置き換えているだけで、クローラーにとっては、「無意味な文字の羅列」でしかないからです。
私も何度も実験しましたが、スニペットも滅茶苦茶で、正常に読み取れるのは、タイトルとディスクリプション、キーワードだけと判明しました。
将来的には、縦書きPDFも正常に読み取るかもしれませんが、それ以前に、PDFファイルを置いているドメインがどれくらい強いかにもよります。
手間をかけずに、プレビュー版を作って、全文検索に投じたいなら、Google ブックスが一番手っ取り早いと思います。
epubは、これから、まだまだ伸びる(様々なプラットフォームやデバイスに対応)
電子書籍は、これからも微増が続くと思います。
人口構造からいっても、ネットユーザーの大半が老眼世代に突入し、本を読みたくても、「字が小さすぎて、読めない」という人が増えてくるからです。
私も、電子書籍か、紙の本か、と問われたら、絶対的に「紙の本」ですが、印字によっては、字面を見ること自体が苦痛な書籍も少なくありません。
興味があっても、「字がぼやける」「目が疲れる」といった理由で、ついつい敬遠しちゃうんですよ。
20代、30代には考えられないことです……🙄
そう考えると、電子書籍には、老眼世代をターゲットとした市場が広がっているし、今からepubの作り方をマスターして、損することは絶対にありません。
書籍に限らず、電子チラシやパンフレットなど、用途は拡大する一方なので。
Google ブックスは著作権云々で、Kindleより、ずいぶん遅れをとった感がありますが、今後のデジタル世代には、「無料プレビュー」「全文検索」「コンテンツブロック」等々、非常に相性のいいサービスだと思います。
今まで遠目に眺めていた人も、これを機会に、ぜひトライしてください。
Google ブックスのデメリット
第一に、「有料コンテンツは、1ページたりと無料で読ませたくない人」には向かないサービスです。
第二に、epubの作成や修正には、XHTMLの知識が不可欠です。
テキスト入力しか経験のない人は、コードを見た瞬間、心が折れるかも……
その点、ホームページ作成で、CSSやHTMLのタグ打ちが出来る人は楽勝だと思います。
インターネット老人会は、今こそ、いにしえのスキルを活かすチャンスですよ!
第三に、釣りタイトルやエロ画像でチートしたい人は向きません。プレビュー機能で、中身スカスカなのが、すぐにバレちゃうからね。
プレビュー機能をオフにすることもできるけど、その分、興味は失せるかと。
第四に、Googleの方がKindleより審査は厳しそうです。ファイルチェック、コンテンツともに。
Kindle本は、購入者にしか中身が分からないのをいいことに、違法まがいの書籍を乱発している人も少なくないですが、Googleは、全文検索を通して、悪事が白日の下に晒されるので、すぐにお縄が掛かると思いますよ。
一太郎+Sigilで作ったePubの見本
作り方はこちらを参照のこと
【補足】 とにかく検索に強い
補足です。2020/06/16
Gooelブックスは、とにかく検索に強いです。
私がGoogleブックスを公開していた間にも、トータルで4000ページ以上、読まれました。
で、あまりに強すぎて、本来、当サイトに呼び込むビジターまで、Googleブックスに取られたので、今は、非公開にしています。(2020年5月のコアアップデートの後)
何故なら、ネット上にまったく同じコンテンツが存在したら、Googleはどちらかをコピーサイトと判断して、落としてしまうからなんですね^^; (Kindleのようなクローズド型のコンテンツは除く)
言い換えれば、『Googleブックス』の一本に絞れば、非常に好条件でアクセスが見込めるわけです。
ただ、それが購入に結びつくかどうかは、コンテンツ次第だし、Googleブックス自体、評価がいまひとつなので(Kindleに比べたら)、微妙なところです。
単純に、存在を知ってもらうだけなら、Googleはめちゃくちゃ強いですし、全編、あげるのに抵抗があれば、Googleブックスだけで読める無料版とか用意してもいいかもしれないですね。
使い方次第で、非常に強力なPRツールになりますので、興味のある方は、ぜひ試してみて下さい。
繰り返しになりますが、コンテンツが自サイトと被る場合は、Googleブックスにアクセスを横取りされること請け合いです^^;