2018/06/05 改訂版 「親を捨てよ 家を出よう」「大学には行った方がいいの?」「好きなことをして生きるは正解か」を追記

映画『マトリックス』が本当に伝えたいこと ~君は心の囚人 / What's is MATRIX 英語で読み解く

映画『マトリックス』が本当に伝えたいこと ~君は心の囚人 / What's is MATRIX 英語で読み解く
仮想現実のサイバーアクションで知られるが、本質は心と世界の関わりをテーマにした哲学的な作品である。私たちが「自分」や「世界」と捉えているものは、自身の思い込みが作り出したイメージに過ぎず、心を解き放てば、我々は空を飛ぶことだってできる。You are the prisoner of you mind (君は君の心の囚人)なのだ。難解とされるMATRIXも、オリジナル(英語)の台詞を通せば概念を理解しやすい。当サイトでは画像付きで重要な台詞を紹介しながら作品のメッセージを読み解く。見せ場の動画も紹介。

『マトリックス』が最初で最後の映像革命――というと、「ちょっと待て! AVATARはどうなる? スターウォーズとジョージ・ルーカスは? ロバート・デ・ニーロやアル・パチーノの名演は革命に入らないのか」と怒り出す人もあるかもしれない。

だが、1970年代から、ほぼ毎日TVロードショーに釘付けになり、休日はレンタルビデオ三昧、映画館にも一人で出掛ける洋画ファンである私に言わせれば、「マトリックスの前にマトリックスなく、マトリックスの後にマトリックスなし」というほど斬新な作品である。(ただしウォシャウスキー監督に多大な影響を与えた『攻殻機動隊』は別格)

第一に、日本のアニメにインスピレーションを得たといわれる、独特のカメラワーク。

第二に、仮想現実や潜在意識を取り入れた、精神世界的な脚本。

第三に、従来のマッチョなイメージ(アーノルド・シュワルツネッガーやブルース・ウィリスなど)と異なる、繊細なヒーロー。

それまでSFアクションといえば、スターウォーズやスタートレックのように、いかした宇宙船が飛び回り、恐ろしい異星人や絶体絶命の危機を描いた『外的宇宙』が舞台だったが、MATRIXは従来のSFと全く異なる作風で、人間の内的世界にフォーカスしている。作中に描かれる能力は、バビル二世の超能力やヨーダの神的な能力と異なり、誰もが陥る心の罠とそれを超越する意識改革の賜だ。いわば、天性に授かった筋力や透視力ではなく、内的な気付きと思い込みの突破こそが、人間にとって本物の超能力だと説いているのである。
喩えるなら、マーフィー 人生は思うように変えられる―ここで無理と考えるか、考えないかで… (知的生きかた文庫)みたいなもの。

自分はブスだ、バカだ、誰にも相手にされない落ちこぼれだ、、、と思い続けていると、見た目も行動もそれに従うし、人生の結果もそうなっていく。

逆に、美醜や能力によらず、希望や意欲、思いやりに長けておれば、見た目も生き生きし、人生も好転していく。

あなたが駄目なのではない、自分は駄目だと思う、その気持ちが、あなたを駄目人間にしているのだ、という、デール・カーネギーな世界観をアニメチックな映像とコンピュータ世界の中に描いたのが本作で、何が新しいかといえば、それまでマニアックな分野だった『精神世界』を大衆好みのアクション映画に仕上げた技術と脚本なのだ。(攻殻機動隊も大衆向けではあるが、随所に押井節が塗り込められており、日本のアニメファンでないと素直に頷けない部分も多いので)

では、なぜ、マトリックスの後にマトリックスなしかと問われたら、この後、脳髄がしびれるような映像革命は起きてないからだ。

AVATARの3Dや、IMAXなど、「すごい映像」は続々と登場しているが、どちらかといえば、『青をよりいっそう青く』した感じで、新感覚ではない。

ところが、『マトリックス』の Dodge this(これでも食らえ)の動きは、今でこそよくある演出だが、1999年当時は完全に新しく、刺激的だった。日本のアニメファンにとっては「あー、真似してるぅ」だが、実写映画に取り入れられたのは、この作品が本当に初めてだったのだ。

見て楽しく、世界観を噛みしめても楽しい、空前絶後の傑作『マトリックス』。

モフィアスがネオに言う「You are the prisnor of your mind」「Free your mind」は、思い込みに囚われた、すべての現代人に捧げる言葉である。

記:2017/12/08

Top