曙光 Morgenrood

第3章 海洋情報ネットワーク

-海洋情報部-

誰がローマのビジョンを描くか 揺れ動く属領と政府の思惑

Introduction

全球的な観測システムとデータ共有のアイデアを盛り込んだ、海洋情報ネットワーク構想の準備が進む中、ヴァルターは産業労働部のマルーフを尋ねる。活発な企業進出と人口増大に伴い、産業労働部の業務も煩雑化する一方だ。中には属領の自治と独立を求める声もあるが、マルーフは懐疑的な異見を口にする。先の見通しがまったく見えない中、ヴァルターはアイデアの具体化に向けて手掛かりを探る。

一方、リズは父に付いてエンタープライズ社で仕事を学ぶが、同年代の女性との差に焦りを感じる。なお間の悪いことに、総務部でも一番の美女であるヴェロニカと彼が一緒に区政センターに出かける現場に鉢合わせ、つまらぬ誤解から落ち込む。そんな娘に、アルは恋と人生の気構えを説く。

海洋情報部でのプレゼンテーションが功を奏し、少しずつ構想への理解が広まる中、アルは『人』の重要性を説いて聞かせ、「人を動かせ」と示唆する。

そんな中、行きのコンパートメントで一緒だった施工管理士のマックスと建築士のエヴァが訪ねてくる。滞在先のレストランで、再建コンペで争ったフランシス・メイヤーについて聞かされるが、示談書にサインした事実は彼の心に重くのしかかったままだ。企画提案書をメイファン女史に提出すると、クリスマス休暇を利用して、マックスとエヴァが住まうローランド島に向かう。
一方、リズは、エヴァからプシュケとエロスの寓話を聞かされる。「愛と疑いは一緒に居られない」という教えに喩え、「あなたは彼に恋してるだけ。本当に愛しているのは彼の方」と窘められる。真実が見えない中、リズはトリヴィアへの帰還を迫られ、不安な気持ちを抱えながら、それぞれの帰路に就く。

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Quote

「まあ、それでもマクダエル理事長の気を引いたんだから大したものじゃないか。あの人も『拾いの神』と言われてるけど、誰それ構わず情けをかけるような人じゃないよ。いざとなれば容赦なく切って捨てる冷徹さも持っている。そうでなければ、ここまで大きな事は出来ない」
「マクダエル理事長とは長いのですか?」
「アステリア開発局の人事でここに飛ばされて以来の付き合いだ。企業と産業労働部は切っても切れない関係だからね。理事長には、中小企業や新興産業の支援、人材育成、交流会、セミナー、本来区政がやるべき務めをずいぶん肩代わりしてもらった。わたしも仕事柄、いろんな経営者の噂を耳にするが、あの人の悪口だけは本当に聞いたことがない。たまに雑音を聞くとしたら、ビジネスで後れを取った負け犬の遠吠えぐらいだ」
「そうでしょうね」
「ともかく、ここは大変だ。ローレンシア島、ローランド島、パンゲア島を合わせて十万六千の人口を抱えているにもかかわらず、行政単位としては未だに「属領」の経済特区にとどまっている。条例の制定や改廃、予算の補正や計上、監督組織の改編を提案しても、トリヴィア政府に突然決定を覆されたり、審議も通さず却下されたり、フラストレーションも多い。とりわけ産業労働部は、企業の要望とトリヴィア政府の方針の食い違いで板挟みになりやすく、五年前にわたしが副部長から部長に昇進した時も、お祝いではなくお悔やみパーティーが催されたぐらいだよ──というのは冗談にしても、まあ、それぐらい激務ではある」
「自治権獲得の動きにはならないのですか」
「みなそう言うが、トリヴィアから分離独立し、自治権を獲得したからといって、一気に問題が解決するわけじゃない。財政も、産業も、人材育成も、学校運営さえも、あらゆる面でトリヴィア政府の財政支援に頼ってる。いきなり臍の緒を引きちぎるような真似をすれば、困るのは自分たちだ。それよりは徐々に自由裁量を勝ち取った方がいい。持ちつ持たれつで、少しずつ自立の道を行く
「それは分かります」
「まさに『ローマは一日にして成らず』さ。問題は誰がローマのビジョンを描くかだ
「ローマのビジョンですか?」
「ローレンシア島はともかく、ローランド島みたいに場当たり的に発展している所は、右肩上がりで湧いている時はいいが、いったん景気に陰りが差すと、皆の不満や問題が一気に噴出して収拾がつかなくなることが多い。もうパイの残りは少ないのに、順調な時と同じように利益を得ようとするからだ。たとえは悪いが、同じどん底でも、火事で焼け野原になった町を官民一丸となって復興するのと、困窮した町で生き残りをかけて共食いするのではパワーが違う。ローレンシア島もそうだ。開発初期のひたむきなエネルギーも確固たる未来図があればこそだよ
「それは分かります」
「それで君の提案する海洋情報ネットワークだが、コンセプトは概ね賛成だよ。オープンデータを通して、内外の人がアステリアに興味を持つことは非常に重要だ。現時点では、区政センターの公式サイトをはじめ、産業振興協会や海洋産業研究会のホームページでも詳しく紹介しているが、質量ともにまだまだ十分とは言えない。君が提案するように、誰でも手軽にアクセスできる多目的オープンデータサービスがあれば、産業のみならず、行政、学術、市民生活、あらゆる面で効果が期待できるだろう。だが、それには海洋情報の取り扱いに関する法的整備が必要だし、どこまでが商用利用が可能か見極める必要もある。データシステムを作って情報を登録するのは簡単だが、産官学が連携して公共財として活用するのはなかなかハードルが高いと思うよ。それでなくてもトリヴィアとアステリア間では意思の疎通が難しい。そこに企業や学術団体や行政機関や、諸々の思惑が絡めば、それを調整するだけでも大変だろう」

*

やがて車がセントクレアの外れに差しかかると、「身繕いするなら今のうちになさい」と父が言った。いつも車を降りる前、コンパクトミラーを開いて、軽く化粧直しをするからだ。
 だが、今日の彼女にはそんな気力もない。
「必要ないわ」
 ぶっきらぼうに答えると、再び窓の外に目をやった
「今日の会合は非常に重要だ。次の経済特区管委員長に推挙されている産業省の政策局長が招かれている。過去十年、資源エネルギー対策課や地域経済振興課の役員を歴任したなかなかのやり手だ。慎重で口も堅い。だが、お前の得意な『無邪気な質問』を投げかければ、格好をつけて、ここの印象を語るかもしれない。それが世辞であれ、建前であれ、知っておいて損はない」
「また私にスパイの真似事を?」
「お前には特異な才能がある。女性ならではの『心をとかすマジック』だ。今から場数を踏んで話術を磨けば、将来、必ずお前の助けになる」
「私に色を売れというの?」
「そんなことは言っていない。お前には大勢を引きつける魅力があると褒めてるんだよ」
「いやらしい。そんなマジックが何の助けになるの。おじさん達の機嫌を取るために女性に生まれたんじゃないわ」
「強くなるんじゃなかったのかね。お前も会社の女性たちのように働きたがっているが、お前には別の役回りがある。もしかしたら、彼女たちの任務よりもっとセンシティブで世知を必要とするかもしれない。きびきび業務がこなせるからといって、誰が上等、誰が無能の話じゃないんだよ。そんな事を言い出せば、お前のお母さんはどうなる? 生まれた時からずっと他人の介助なしに道も歩けず、交通事故に遭ってからは大半を車椅子で過ごしていた。でも、こんな身体だからこそ私は勉強に集中できる、その知力をラテン語に注いでいるだけのことです、と明るい口調で話してくれた。同年代の女性のように旅行を楽しんだり、働きに出られないからといって一度も自分を卑下したことはないよ」
「……」
人間にとって最も貴い仕事は『自分を高める』ということだ。書類を作ったり、物を売ったりするだけが仕事じゃない。その中には感情をコントロールする事も含まれる。怒り、焦り、淋しさ、嫉み、扱いを間違えば、やっと手に入れた幸福も一瞬で壊してしまう。お前の魅力は海のように情感豊かなところだが、裏を返せば、不安定で荒れやすい。それでは船乗りも住み着かない。ずっと自分の海に居て欲しければ、波風をコントロールすることを覚えなさい

*

「緊張してるの? そんなに身構えなくても大丈夫。みな興味をもって聞いてくれるわ。前はあんなに上手に出来たじゃないの」
 女史はお母さんのような口調で励ました。
「あなたの持ち時間は前回と同じ二十分。質疑応答も含めて、一時間程度で終わる予定よ。先日話したように、プレゼンテーションの模様はオンラインで中継するけども、実際、何人が視聴するかは私にも正確には分からない。後日、録画ビデオで内容を確認する人もあるでしょうから。でも、あれこれ考えないで。社内で企画発表するような気持ちで話してくれたらいいのよ。これはあくまでアイデアの表明、大統領選のディベートとは訳が違うのだから」
「ディベートも得意ですよ。特に屁理屈は」
「ええ、知ってるわ。フェレンツ部長をやり込めたのでしょう。かんかんに怒鳴り込んできたわ。あなた、相当に痛いところを突いたのね」
「ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「私に謝らないで。フェレンツ部長に謝るのよ。『口が過ぎた』と素直に頭を下げれば、いつまでも根に持つ人ではないわ」
「しかし、そうまで謙る必要があるんですか」
「当然よ。あの方、いわばノボロスキ社は私たちの大事なパートナーだもの。公の任務も民業もノボロスキ社を抜きにしては回らない。それは支配や独占ではなく、リーディングカンパニーとしての存在感なの。フェレンツ部長は重要なデータを預かる最高責任者であり、社の代表でもある。その方のプライドを傷つけるということは、これまでノボロスキ社が積み上げてきた何十年の功績を軽んじるということよ、たとえあなたにそのつもりはなくても、周りはそう見なすわ。癖のある人だけど、仕事は確実だし、あなたがよちよち歩きしていた頃から、ここで身体を張って海洋調査の仕事をしてこられたんだもの。そこだけは敬意を払わないと、今度はノボロスキ社長の不興を買うわよ
「……」
「前回、なあなあで済んだのは、フェレンツ部長の方が大人ということもあるけれど、ノボロスキ社長とマクダエル理事長の信頼関係に依るところも大きいわ。理事長が特別に目をかけておられる若い人だからと、一言言いたい気持ちを抑えておられるのよ。でも、一度は許しても、二度目はないわよ。あなたにも言い分はあるでしょうけど、それは結果を出してから堂々と口にすればいいこと。今は若輩に徹して信頼を固めた方がいい。たとえ小さな成果でも、何か一つ形にすれば人は認めてくれるわ」
「結局、理事長の威光ですか」
そんなひねくれた言い方をするものじゃないわ。今度の事で一番恥ずかしい思いをされてるのはマクダエル理事長よ。あなたを推した時点で自らの信任も懸けておられるのだから。少しでも申し訳なく感じるなら、今度は穏便にやりなさい。フェレンツ部長に頭を下げたところで、あなたの構想の価値まで下がるわけではないのよ

*

 予定時刻の五分前になると、海上安全局の局長、ITシステム部長など、幹部役員が次々に入室し、最後にフェレンツ部長がのっそりと顔を出した。
 会社だ、政府だといっても、突き詰めれば人間の集団だ。その人たちの不興を買えば、良いアイデアも行き場を無くす。おべんちゃらを口にして無理に好かれる必要はないが、つまらぬ事で厭悪の種を蒔いても互いに消耗するだけだろう。
 海洋情報ネットワークの目指すものは公益だ。そこには、いけ好かない部長の福利厚生も含まれる。公益を成すなら、私情は超えなければならない。相手が何ものであれ、まずは敬意を払うことだ。
 彼は深く息を吸い込むと、「まず最初に一言、言わせて下さい」と断った。
「俺は確かに海洋行政や情報管理について論じるだけの資格もキャリアもありません。でも、海に必要なこと、可能性や危険性も含めて、本質は理解しているつもりです。アステリアにも蓄積されたノウハウがあり、今すぐ新しい情報共有サービスは不要かもしれませんが、一度でもその必要性について考えて頂きたいのです。堤防が先年に一度の水害に備えるなら、知識と情報の共有は先年先の未来を導く手引きです。海を知り、理解を深めるのに早過ぎることはありません。今からでもその基礎となるものを築いてはどうかというのが構想の主旨です。誰がイニシアチブを取るかの問題ではありません。一人でも多くの方が情報共有の必要性について考えて下されば、それだけでも意義があるのではないでしょうか」
 彼はフェレンツ部長に向き直ると、
「先日、失敬な口を利いたことは謝ります。貴官のお気持ちや社会への功績も考えず、無遠慮に誹ってしまいました。でも、この海を守りたい気持ちは本物です。資格やキャリアにかかわらず、自分にできる最大限の事をしたいのです。熟練から見れば、身の程知らずかもしれません。でも、目の前の問題を見て見ぬ振りで通り過ぎることはできないのです。もし少しでもアイデアに共感して下さるなら、助言なり、支援なり、ご協力いただけませんか。貴社は何十年と培った技術やノウハウをお持ちです。それを自社の中で眠らせておくのは、余りに惜しいと感じます。ものによっては民業の損失と感じるかもしれませんが、業界全体が活気づけば、それは回り回って貴社の利益に繋がるのではないでしょうか。俺には自分以外に何もありません。誰がイニシアチブを取ろうと、誰が一番得しようと、情報共有の恩恵が社会に還元されるなら本望なのです
 そこまで言うと、メイファン女史が咳払いし、
「ノボロスキ社の意向については、追い追い、お話を伺うとして、そろそろプレゼンテーションを始めませんか。オンラインでお待ちの方も大勢いらっしゃいますし、質疑応答にも十分時間をかけたいと考えています」

*

 アルはブランデーを飲み干すと、「仕事の話をしよう」と話題を切り替えた。
 書斎机の上に置いていた一綴りの書類を手渡すと、
「産業省に提出する企画提案書だ。十二月十五日までに必要事項を記入して、メイファン女史に提出しろ」
「でも、俺にはその資格が……」
「連名であれば問題ない。代表者名はメイファン女史が肩代わりしてくれる」
「でも、部長としての立場は?」
「企画を提案するのに役職は関係ない。必要なのは代表者が市民権を持っているということだ。超党的なワーキンググループとして意思や要望を表明するのに何の問題もない」
「ワーキンググループ?」
「そう、メンバーはお前とメイファン女史の二人だ」
「でも、二人だけのワーキンググループなんて通用するのかい?」
「人数や構成員は関係ない。百人の有志を集めたからといって、必ずしも企画が通るわけではないのと同じだ」
「それはそうだが……」
今、採択されるかどうかは重要ではない。まずは企画をしっかり練ること、次に必要性を説くことだ。わしも採鉱プラットフォームの構想はダナと二人で始めた。わしが大学生の頃だ。アイデアを紙に書き出す段階では途方もない事に思えた。だが現実になっただろう。『緑の堤防』はどうだ? 百人がかりで設計したか?」
「いや」
いいか、どんな時も決して忘れるな。資本だ、設備だといっても、突き詰めれば『人』だ。設計するのも人なら、機械を動かすのも人。経理を手がけるのも人なら、営業に回るのも人だ。人を見誤れば、数十年かけて築いた信用も一夜で崩れ去る。だが優れた人材を得れば、百万の資本もそれ以上になる。一人の愚かな判断が数百万の人々を困窮に追いやることもあれば、一人のアイデアが世界の様相を変えることもある。全ては人だ。人間の良し悪しが全てを決める
「それは分かるよ」
「海洋情報ネットワークも同じだ。最終的に決め手になるのは、誰が協賛し、実質的に動いてくれるかによる。いくら金と権力があっても、自分の得にならぬと分かれば指一本動かさない人間の歓心を得たところで何の益にもならない。逆にメイファン女史のように強い立場になくとも、自分の出来る範囲で精一杯働きかけてくれる人の協力を得た方がどれほどチャンスに恵まれるかしれない。資本もない、コネもないなら、人を動かせ。明確で具体的なビジョン、多くが共感する指針を示せば、必ず賛同者が現れる。良いパートナーを得れば、百人の優秀な部下を得たも同然だ。いろいろ働きかける中で資金や手段を得る術も見えてくる。お前の強みはその声だ。人が思わず足を止め、聞き入るような響きがある。弁も明快で分かりやすい。同じ理屈を説いても、お前が言うのと、他の誰かが口にするのでは、お前の方がはるかに説得力がある。それが人間としての魅力であり、才能だ。誰もが真似できることではない」
「だが、海洋情報ネットワークは『緑の堤防』とは違う。共感だけ得ても、具体的に予算や法律が動かなければ、到底構築はできない」
「まあ、そう難しく考えるな。これほど大がかりなプロジェクトを一年二年で実現するなど、わしでも無理だ。だが、海洋情報に限って言えば、メイファン女史のように漠然と疑問を抱きながらも行動に移せない人は少なくない。区政も産業も、あらゆる物事が過渡期に差し掛かっている今、海洋情報ネットワークのような公益性の強いプランを打ち出すだけでも価値がある。お前の構想は、突き詰めれば『統合』であり『連帯』だろう。めいめいが好き勝手な方を向いて利益追求に走ろうとしている中、それが大きなアンチテーゼとして働くんだ。実現するか否かは二の次でいい。まずは自身の構想を一人でも多くの人に理解してもらうことだ。一つ一つ駒を進めるうちに、思いがけない局面が開けることもあるだろう。そこから先は運に任せるぐらいの気持ちでおれば、自分自身を追い詰めることもない」
「確かに、構想が成らなくても、誰が損するわけでもないからね」
「そうだ、せいぜいお前のプライドが傷つく程度だ。だが、それがどうした。数十億の設備投資を回収する苦労を思えば易いものだ」

*

メイファン女史は机の引き出しから老眼鏡を取り出すと、もう一度、書類に目を通した。
「私の書き足す部分もないみたい。私の代表名で提出するのも、なんだかおこがましいわね。それよりヒアリング調査はどう? 手応えは得られて?」
「アイデアそのものは好意的に受け止められますが、まだまだ『他人事』という感じです」
「そうでしょうね。一口に海洋情報といっても種類は様々だし、企業は自社の利益になることしか興味がない。海上安全局が提供する無償の情報サービスがあるのに、なぜ今更といったところでしょう。でも、アステリアの将来を考えれば、今すぐにも常時観測システムの規模を全海洋に広げるべきだし、社会と自然科学の両面からデータ収集と分析を行い、情報を共有することが発展の鍵になる。私はこの視点で間違いないと確信してるわ」
「なぜ海に囲まれた所に暮らしながら、全球的な視点が持てないのでしょうね」
「どこも目の前のことで精一杯だからでしょう。薄々、問題に気付いても、いざ実行するとなれば莫大な資金が要るし、高度な知識や技術を持った人材も不可欠だもの。どうしても目の前のことに終始しがちよ。でも、それについて非難することはできないわ。私も長い間、疑問や違和感を感じながら指一本動せずにいたから、同じように、尻込みしたり、無関心を装ったりする人たちの気持ちも分かるの。みすみす余計なことに首を突っ込みたくないのは誰しもよ。ところで、あなたを全面的に手助けしてくれそうなパートナーは見つかりそう?」
「いえ、まだ……」
「私の方でもいろいろ働きかけているから、そのうち協力者も現れるでしょう。どのみち二週間もすればクリスマス・ホリデイだし、年内はあなたもゆっくりするといいわ。年明けにまた仕切り直しましょう。あなたのご予定は?」


Product Notes

私がインターネットを始めて間もない頃(1997年)、一番にハマったのが『ばかけんちく探偵団』というウェブサイトでした。今は活動を停止されていますが、やたらと高尚、でもなんだか訳の分からない建築物を「知的におちょくる」、初めての読み物サイトだったように思います。
ここの掲示板も、今ドキの人には想像もつかないほどお行儀よく、日夜、高レベルな議論が交わされていました。
まだサイトを保存しておられるので、興味のある方はぜひ。
(ウォールの絵は管理人さんの自作です)

/

http://www.st.rim.or.jp/~flui/bk/baka_home.html

「ばかけんちく」の概念自体も、この積み重ねの中でどんどん進化・深化していくことでしょう。ですがとりあえずの捜索範囲。
 ●カタチのみで、充分笑いを取ってるヤツ
 ●どうみてもヘンな色、ヘンなカタチのヤツ
 ●中身や用途、目的との関係がよくわかんないカタチのヤツ
 ●周囲からウイてるヤツ
 ●何だか「アートっぽい」けど、どうもウサンくさいヤツ
 ●パクリ / ありきたりなステレオタイプなヤツ
 ●オヤヂなセンスのヤツ
 ●なんか、理由もなくムカつくヤツ
 ●マジで景観破壊してるヤツ
                ...等

「メイヤー」という名前は、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』に登場するヴァルター・フォン・ストルツィングに嫌がらせをする歌い手「ベックメッサー」、そして、建築誌にやたら登場する『メタファー』に起因します。(今はいろんなジャンルに使われていますが)

*

「年齢の枠を越えて、いきいき働かねばならない」「恋も仕事もお洒落も楽しまなければいけない」「愛される女性でなければならない」etc
女性自身が「こうあるべき」と思い込んでいる部分は大きいですよね。
でも、こんな風でいいのだと思いますよ。いわゆる美女の規定からは外れているかもしれないけれど、みな、生き生きと楽しそうじゃないですか。

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