人間の意思がアイデアの価値を高める

人間の意思がアイデアの価値を高める

大友克洋の名作『AKIRA』にも、「人間はいろんなものを作り出すけれど、そのパワーはどこからやってくるのかしら」という問いかけがあったように記憶しています。今、作品が手元にないので、うろ覚えになりますが、テツオが肥大化して、金田との一騎打ちになった時、ガールフレンドが上記のような事を呟くのです。

アイデアは人間の精神の産物に違いないけれど、では、何がアイデアを生み出すのか、という話ですね。

宇宙のひらめきか、単なる神経細胞の電気信号なのか。

今、私たちが目にしている世界は、人類のアイデアの集積といっても過言ではありません。

そして、時に、人ひとりのアイデアは、世界を滅ぼす力も持ちます。

このパートは、『パラディオン』という巨大な海上都市の建設計画が進んでいる事に対し、恋人のリズが、彼の心の奥底に秘められた海洋都市のアイデアを表に出そうと促す場面です。彼は自分のアイデアに自信がないので、決して口に出そうとしない。でも、リズは「恐れずに話して」と力付けます。

どんな優れたアイデアも、心の中に持っているだけでは、存在しないも同じことなのです。

このパートは海洋小説『曙光』(Kindle版)の抜粋です。
詳しくは作品詳細をご参照下さい。

抜粋

人間の意思がアイデアの価値を高める

※ リズと食事を取りながら、都市の未来について語り合う

「人間のアイデアって何なのかしらね。宇宙の塵のように人間の頭の中で生まれ、次第に形を取りながら、未だかつて誰も見たことがないような新しい物をこの世に作り出す。社会や時代を動かしてゆく。時には世界を席巻するような巨大市場を生み、人々の暮らしを根底から変えてしまう。それが社会を豊かにすることもあれば、大勢の人生を台無しにすることある。でも、それらは決して運などではない、人間の意思が形づくるのよ。誰がアイデアを形にするかで、この世は変わるわ。どれほど優れたアイデアも、曲がった意思が働けば歪な世界を作り出すし、アイデア自体は優れなくても、善き意思がそれを優れたものに育てることもある。専門家だから、その道の権威だから、必ずしも優れたアイデアを生み出すとは限らないのよ。私も建築や都市開発について提言できるだけの資格も知識もないけれど、一つだけ確言できる。未来のアステリアに必要なのは、富裕層だけが楽しく暮らすパラディオンではなく、アステリアの人々が安心して暮らせる広々とした都市空間だということ」

<中略>

「もし、あなたがアイデアを持っているなら、恐れずに話して欲しいの。何故って、それが世界を変える鍵になるかもしれないからよ。私なら決して嗤ったりしない。あなたのどんなアイデアでも、活かす道がないか、一緒に真剣に考えるわ。だから、何か思いついたら、恐れたり恥ずかしがったりせず、気軽に教えて欲しいの。アイデアを形にする最初の一歩は、誰かに話してみることだと思うわ」

「君も父さんと同じ事を言うね」

「お父さまと?」

『たとえ君が世界を変えるアイデアを持っていたとしても、それを口にしなければ誰にも伝わらない。だから勇気をもって話してみよう。お前もいろんな可能性を秘めた海だ』と教えてくれた。もちろん、今もそのつもりだ。だがね、今でさえ海洋情報ネットワークに四苦八苦してる。それを差し置いて、また新たな何かを口にするのは大風呂敷みたいで気が進まない。もう少しこの地への愛着が湧いたら、その覚悟も芽生えるかもしれない。その時には君に一番に話すよ。どんな事も、君に一番に」

Product Notes

AKIRAって、一見サイバーアクションだけども、根底にあるのは、人間の精神の源は何なのか……という奥深いテーマなんですよね。

『無』から『有』を生み出す、アイデアの根源みたいなものです。

もしかしたら、『宇宙』を認識できるのも人間だけで、この世界そのものが「人間の精神によって作り出されたビジョン」だとしたら、実体も何の意味も成さなくなるでしょう。それは本当に存在するのか、と。

詳細はよく覚えてないのですが、老人化した子供キャラは強烈でした。

シェルターに閉じ込めたAKIRAが実はチョメチョメだったというオチも。

いつかまた、ゆっくり見直したい作品の一つです。

Kindleストア

上巻の冒頭部を収録した無料版PDFはGoogle Driveにあります。
閲覧は無料です。モバイルでも表示可能。

https://drive.google.com/file/d/0B-RKK97iKB34ajR0YVJGREhfeE0/view?usp=sharing

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