血塗られた貴石と科学者の誇り 学界に名誉の旗を立てるだけが学問か?

血塗られた貴石と科学者の誇り 学界に名誉の旗を立てるだけが学問か?

『学術調査の立ち入りさえ許さない』――というのは、某有名企業の鉱山のエピソードからヒントを得ました。
そこでは、従業員の立ち入りには、原理食施設並のセキュリティ・システムがしかれ、エックス線や金属探知機や、あらゆる手法を駆使して、鉱物の不法持ち出しをチェックしているそうです。10グラムでも万単位で取引される鉱物となれば、その価値は金塊以上ですから。

その企業は、政治的、学問的な情報操作を否定していますが、その真偽を客観的に判断する資料はどこにもありません。なにせ、企業が学術団体の立ち入りを許さない=その鉱物がどのように生成され、どのように産出されるか、現物を知ることさえ叶わないのですから、どうしても推測の世界になってしまいます。
私の子供時代には、『オイルショック』が起こり、十数年で石油が枯渇するかのような不安が広がりましたが、21世紀を越えた今、石油の枯渇を本気で心配する人がどれくらいいるでしょうか。あの騒ぎはいったい何だったのか、本当に石油は枯渇するのか、そもそも石油はどのようなプロセスで生成されるのか、その起源も『有機由来説』と『無機由来説』に分かれ、いまだ100パーセント確実なことは何も分かっていません。どこからでも無限に湧いてくる……となれば、産業の構図も変わるからでしょうか。
何にせよ、政治的な意図を完全に無視することはできません。
ダイヤモンドしかり、その他の希少鉱物しかり、です。

本作は、こうした陰謀系エピソードから着想を得ています。

しかし、あながち『作り話』とも思えないところが、現実の鉱業事情を如実に物語っていると思います。

参考URL→石油とその起源 http://www.ptc.ne.jp/publics/index/20/

このパートは海洋小説『曙光』(Kindle版)の抜粋です。
詳しくは作品詳細をご参照下さい。

概要

ファルコン・マイニング・リサーチ社の調査員で、ロバート・ファーラー社長の愛人でもあるオリアナは、マクダエル一家から受けた幼少時の屈辱を思い返す。生まれた場所が違うというだけで、なぜここまで差を付けられるのか、オリアナの腹の中には復讐の思いしかない。一方、採鉱プラットフォームの成功を機にますますMIGと差を付けられるファーラーは人間としての名誉を求め、アステリアに乗り込む。不安がつのる中、リズがオリアナから聞かされたのは「あなたの彼もダニエル・リースのようになるわよ」という脅し文句だった。

抜粋

※ ウェストフィリアの視察に訪れたファルコン・マイニング社のファーラー社長のコンパートメントで

美しさと鉱業的ポテンシャル:ブルーディアナイト

ファーラーはいつも後生大事に持ち歩いているイタリアンレザーのアタッシュケースを開くと、紺のベルベットをあしらった細長いジュエリーケースを取り出した。そこにはプラチナの台座に収められた青いペンダントが今も恋人に思いを馳せるように輝いている。

女の小指のように円くカボションカットされたこの石は、海のように深みのあるロイヤルブルーで、光を当てると、石の中央からまるで神の目が光を放つように六条の星彩効果(アステリズム)が現れる。しかも、微かではあるが、光源によってロイヤルブルーからピンクパープルに色調が変わり、これまで様々な宝石を目にしてきたファーラーでさえ目を見張るほどの逸品であった。

しかも、この石は鉱業的にも計り知れないポテンシャルを秘めている。
石の中に含まれる針状結晶(インクルージヨン)が純度九九・九九パーセントのニムロディウムで構成されているからだ。

通常、ニムロディウムは酸素と強固に結合した「酸化ニムロディウム」という形で存在し、単体のニムロディウムは地上には存在しないことで知られている。

だが、ウェストフィリアで採取されたこの石は、元素鉱物ともいえる高純度のニムロディウムを含み、生成の過程も、性質も、大きな謎に包まれている。研究が進めば、従来の常識を覆す画期的な発見になるだろう。

にもかかわらず、存在を公にできないのは、この貴石が暴力によってもたらされたものだからだ。

金の次は名誉が欲しい

※ 上述の続き

だが、ファーラーにもたった一つ、逆立ちしても手に入らぬものがあった。

人間としての名誉だ

いかにロバート・ファーラーが覚えめでたいボンボン社長でも、周囲が彼個人ではなく、背後のハヤブサ・マークに頭を下げていることぐらい彼にも理解できる。
そうではなく、ロバート・ファーラーという一個人に対する敬愛が欲しい。

鉱業問題の公聴会や株主総会で被告人の如く弁明するのではなく、講演会を開けば名だたる経営者や文化人までやって来て、有り難がって話を聞くことである。
子飼いの新聞記者にマイニング社に有利な記事を書かせ、不利な情報を揉み消すことではなく、一流出版社から経営哲学やバイオグラフィーを本にさせて欲しいとオファーを受けることである。

ネンブロットの支社を訪れる時も、強化ガラスに護られたリムジンの後部座席で亀のように首をすくめて乗り付けるのではなく、工場やオフィスに顔を出せば、作業中でも誰もが手を止めて一礼してくれることである。

だからといって、自分も繋ぎの作業着とヘルメットを身につけ、機械油にまみれた現場に足を運ぶ気などさらさらなく、従業員が暮らしを立てるために働くのは当然だと思っている。鉱害病について講釈されても、どうせ酒とドラッグで寿命を縮めるような連中ばかり、人並みに給料をもらえるだけ有り難いと思え、ぐらいにしか感じない。

それだけに、ペラペラと綺麗事を並べ立て、賢人だの、稀代の事業家だのともてはやされているタヌキがいっそう癪に障る。

一般人が求めているのは『感動』

※ 実況のあり方をめぐって、関連会社の担当と打ち合わせ

オーシャン・リサーチ社はオーストラリア北東部の大都市に本社を置き、インド洋や東南アジア海域を中心に海洋調査を行っている有名企業だ。主に海底油田やガス田の探査に実績があり、多金属硫化物鉱床の調査にもノウハウを有している。

今回、ウェストフィリアの深海調査に同行することになったのも、創業七〇年の実力を期待されての事であり、会社自身に政治的な理由はない。しかしながら、開発公社の姿勢に疑問を呈する声もあり、必ずしも「好意的」とは言いがたいようだ。

というのも、開発公社の閉鎖的な考えは深海調査も同様で、知り得たデータを惑星物理学や宇宙生物学、船舶工学などに積極的に活かそうという姿勢がまったく見受けられないからだ。ただでさえ専門家や機材が不足する中、対象海域に調査船を派遣してデータを収集するとなれば、数百万から数千万エルク、時には何億エルクもの出費になる。資金の乏しい企業や区政にとって、一つ一つの調査はアステリアの海を知り得る貴重な機会だ。たとえ機密性の高いミッションでも、公社の社会的義務として、収集したデータを出来る限り広範に活用するのが筋ではないかというのがオーシャン・リサーチ社の意見だ。

「うちも決して利益本位ではないからね」
と代表はオンラインのモニター越しに言う。

「石油でもガスでも、依頼主の情報資産はもちろん守秘する。だが一方で、海洋調査の学術的な価値も認識してもらい、共有できる部分は共有する。その姿勢がなければ、全体の発展には結びつかない。それはアステリアも同じだと思う。トリヴィア政府もグローバルな海洋調査を行う気はまったくなく、アステリアの区政にもそこまでの力はない。そのくせ、資源は欲しい、投資や観光客も呼び寄せたいというなら、ここは相互に協力して、一つの調査を最大限に活かす道を模索すべきだろう。もちろん、資源戦略に関わる部分までオープンにしろと言わないが、もう少し海洋行政でルールを取り決め、データ取り扱いのガイドラインを明確に打ち出さないと、個々の権利や利益ばかりが優先されて、肝心の海洋科学技術の発展がなおざりにされるよ。せっかく海の星に住みながら、ビジネスの話ばかりで、ステラマリスの学術機関とまともに交流がないなんて信じられないね」

「ですから、今後の海洋行政やデータ管理の在り方について、社会の理解と関心を深める為にも、海洋情報ネットワークの構築を急いでいるのですわ」
リズが怜悧な瞳を瞬いた。
「でも、あまりに支援の手が薄いのです。だからといって、拱手傍観するつもりもありません。今度のウェストフィリア海洋調査はアステリアの新たな可能性を広く知らしめるものであると考えています。その為にも、開発公社の代表と話し合い、僅かでも実況や広報の機会を頂きたいのです」

「ちなみに、潜水艇の耐圧殻から実況できるだけの設備と技術があるのかい?」
リズの代わりにフーリエが答えた。
「技術的に無理ではないですよ。船上で受信するデータをオンラインで共有するだけの話ですから。ただ、リアルタイムで映像データを船上に送信するとなれば、肝心の水中カメラのデータと送信容量を食い合って、画質の低下を引き起こす恐れがあります。もちろん、送信機能を高めればこの問題もクリアできるでしょうが、今から設備を拡張するのは予算的にも無理だし、テストにも時間がかかります。潜水艇の中から実況するとなれば、水中電話を使った通話がメインになるでしょう。でも、音質は決して良好とは言えません。編集を加えて後日放映というなら分かりますが、リアルタイムとなれば、どうなんでしょうかね」

ヴァルターはプロテウスの設計図を指し示しながら、
「耐圧殻の上部に安全監視用のカメラがあるだろう。不慮の事故に備えて内部の様子を常時ナビゲーターに送信し、録画もしてる。コクピット内の映像なら、あれで十分じゃないか。TV放送でないのは、みな百も承知だ。高画質なんて誰も期待しない。第一、もさ苦しい男三人の背中をハイビジョンで見たって、楽しくも何ともないだろう。海中の様子を生中継するなら、一般の水中ビデオカメラで十分だろう。学術用の映像じゃないんだ、ぼやけた画質でも雰囲気は掴める。むしろ鮮明じゃない方が開発公社にとっても都合が良いだろう」

「試みとしては面白いが、操縦しながら、調査もしながら、実況もするというのは、なかなかハードじゃないか」

代表が懸念すると、ヴァルターは軽く頭を振り、
「そこにマイクが有るか無いかの違いです。パイロットだからといって、操縦桿だけ握っているわけではありません。研究者をリラックスさせる気遣いもすれば、上昇中に世間話をすることもあります。こちらで何かに気付いてサジェストすることもあれば、その場で色々教わることもある。毎回和気藹々とはいきませんが、雰囲気作りも大事な仕事です。研究者にとっては生涯に一度か二度の機会ですから」

「なるほどね。だが、それなら科学番組のように興味深い部分だけを編集して、後日、オンラインで流せばいいじゃないか。どうしてそこまで実況にこだわるんだ?」

俺も最近実感したのですが、『知っている人』と『知らない人』の感覚の差は非常に大きい。目の前に学術的に貴重なデータを突きつけても、何の知識ももたない人には数字の羅列でしかありません。また、理解する気のない人に一〇〇回理屈を説いて聞かせても、やはり右から左に聞き流されるだけでしょう。でも、そんな人々も強烈に興味を掻き立てられる瞬間がある。それは『感動』です。海の不思議な生き物、ダイナミックな海底火山、奇妙な現象、それは面と向かって正論を唱えるより、はるかに説得力がある。もっとも、同じ物を目にして、全ての人が同じ感動を覚えるとは限りません。力を入れたコンテンツも、一瞬で忘れ去られることもあるでしょう。だとしても、アプローチを止めたら、そこで終わってしまう。小さな水の流れもいつかは岩根を削るように、訴え続けることに意味があるんです。今度の試みも、どこまで人の心を動かせるかは分かりません。また、人ひとりの心を動かしたところで、何がどうなるものでもないでしょう。それでも、その人の周りには、日頃から親しくしている人達がいて、またその人達の向こうにも家族があり、友人があり、職場の仲間がある。誰かに心から語りかけることは何千、何万に語りかけるのと同じです」

「そんなこと、本気で信じてるのかい?」

「理想論なのは百も承知です」

先方もうーむと唸り、言葉に詰まったが、
「私はとても感動しました」
リズが小さく切り出した。

「採鉱プラットフォームの接続ミッションの時、コントロールルームのモニターで作業の様子を視聴しました。プロテウスが海に着水するところから揚収されるところまで。深海で揚鉱管と採鉱機が接続される過程や、ジェネレーターを作動させる瞬間など全てです。あの時の現場の一体感、全員で何かを成し遂げることの重みと悦び、スタッフ間の信頼……一言では表せないほどの感銘を受けました。深海調査は接続ミッションとは異なるかもしれませんが、何も知らない人には海の中の世界は神秘です。有人潜水艇という存在自体が珍しく、そのメカニズムや技術にも畏敬の念を抱かずにいません。同時に、水を制することの難しさ、超水圧と暗闇の過酷な環境、心の目を開かされることもたくさんあります。素人の意見を率直に申せば、話の解る者だけで討論しても、本当の意味で裾野は広がらないと思います。今後ますます海の科学力や高度技能者が求められる時代、アステリアの将来を決定付けるのは、一般人の興味と理解ではないでしょうか。どんな出会いが人生を変えるかしれません。その為にも、ウェストフィリアの海洋調査を権利や機密の壁で囲って欲しくない。同じ開発を進めるなら、企業の利益であると同時に、アステリアに暮らす人々のものであって欲しい。それを知らしめる為の実況です」

物事が成就する為の三つの要素

※ オーシャン・リサーチ社との面談の後

「もし実況が叶わなかったら、どうするの?」

「何も違わないよ。調査に参加すれば、また新たな繋がりができる。ここでは知り得ない事も知るだろうし、実況に限らず、いろんな方法があるよ。最初からダメで元々の話だ。実現しなくても、痛くも何ともない」

「意志が強いのね」

「それだけが取り柄だからね」

「取り柄ではなく『力』よ。世の中にはお金や権力で物事を動かそうとする人もあるけれど、多くの人は心に動かされる。突き詰めれば、心の力を持っている人が一番強いと思うわ」

「力って、何だろうな。俺の父親はよく『人間の意思が世界を形作る』と言ってたけど、やる気だけなら俺にもあるし、世の中の大多数は正しいことや美しいものを求めているように感じる。だが、いざとなると人は保守的になるし、上が動かなければ、下も動かない。時々、人間は本当に意思の力だけで何かを成せるのかと疑わずにいない」

私ね、物事が成就するには、三つの力が働くと思うの。意思と、運と、時機よ。どれほど能力があっても、条件に恵まれても、時機が合わなければ、完全には成らないわ。だからといって、人が意思もって行動することが決して無駄とは思わない。誰かが動かぬ水面に石を投げ入れるから、そこに波動が生まれ、遠くまで広がっていく。運は風、時機は潮よ。こうしている間にも、運命の女神は、あなたの意思に適った運の機を織り上げていく。それが何時、完成するかは分からないけれど、一緒に時を待ちましょう。趣旨には賛同して頂いているのだもの。きっと、ふさわしい時機に、ふさわしい何かが訪れるわ」

不正には学問で立ち向かう:ある鉱物学者の闘い

※ 青い貴石ブルーディアナイトと鉱物学者の父子、イーサン・リースとダニエル・リースのエピソードが、ダナの口から語られる。彼らは子供の頃からの付き合いで、鉱物や鉱業に関することはイーサン父子から教わった。

実際、イーサンの語るニムロディウムの話はエキサイティングなものだった。

私もアルもMIGの一員として知識を深めるのは当然の義務だったから、専門の先生に付いてある程度のことは学んでいたけど、イーサンの話は科学知識にとどまらない、『物質と社会』、しいては文明の根源に迫る、非常に哲学的なものだった。

あなた方も知っているでしょう。
Anno(アンノ) Domini(ドミニ)の末期、無人探査船パイシーズがみなみのうお座から持ち帰った一つの鉱石が人類にニムロディウムという新物質をもたらし、それまで絶対不可能とされた恒星間航行エンジンや極限環境構造物の建造を可能にした。技術が「船」なら、ニムロディウムはまさに「追い風」。石油がAnno(アンノ) Domini(ドミニ)時代の礎となったように、ニムロディウムも宇宙文明を支える絶対不可欠な物質として、世界の頂点に立っている。
ニムロディウムがなければ宇宙船も飛ばないし、宇宙船が飛ばなければ食料や工業原料を外惑星からの輸入に頼っている辺境の植民地もたちまち生命線を絶たれてしまう。その他にも、地熱ジェネレーター、エネルギープラント、住居シェルター、車、携帯電話、医療器具に至るまで、ニムロディウムはありとあらゆる製品に用いられている。まさに文明の根幹を成す物質よ。それを制する者が世界を制するのも当然の成り行きだった

いちはやくニムロデ鉱山を手に入れ、探鉱や精製の技術まで独占したファルコン・マイニング社が公共の利益を尊重するわけがない。先駆けて成功した企業が先行者利益を得るのは当然としても、彼らのやり方は、不当な裏取引や価格操作、鉱業行政の買収、違法労働や環境汚染の隠蔽など、悪質きわまりないものだった。

そんな中、より安価で効率よくニムロディウムを精製する方法が開発されたら?

あるいは、ニムロデ鉱山以外で高品位のニムロイド鉱石が大量に見つかったとしたら?

ファルコン・マイニング社の優位も大きく揺らぐわね。

それを金属業の立場から揺るがしたのがノア・マクダエルお祖父さまの『真空直接電解法』で、鉱物学的な立場から突破口を探っていたのがイーサン・リースだった。

イーサンはよく言ってたわ。
鉱物学者として石の起源を追い求め、学界に名誉の旗を立てるだけが学問だろうか。マイニング社のやり方を批判するのは簡単だが、批判するだけでは決して問題は解決しない。鉱石は富と権力の源泉でもあるけれど、一方で不可能を可能にし、人々の生活に進歩と救いをもたらす。わたしは鉱物学の立場から世界を変えたいと

でも、それは学者としての社会的生命を失いかねない危険な行為だった。

マイニング社は真実をねじ曲げても自社の利益を守ろうとする。

たとえば、ニムロディウム鉱床の成り立ちには、以前から多くの疑問がつきまとっていた。
一般にニムロデ鉱山は「小天体の衝突によって惑星深部の物質が表面に噴出した」と言われているけれど、それだと、ニムロデ鉱山から遠く離れた鉱区や、同じ恒星系の惑星にも少なからず存在する現象に説明がつかなくなってしまう。また、小天体が衝突したという割には、それを裏付ける物的証拠が何もなく、年代さえ正確に測定できない。

にもかかわらず、マイニング社は「企業機密」を理由に部外者の立ち入りを許さず、学術調査にも協力しなかった。誰かが新しい学説を立てようとすれば、あの手この手で妨害し、御用学者を使って完膚なきまでに叩き潰した。それこそ大量のニムロディウムを含む鉱物が予期せぬ場所から出てこない限り、彼らは『小天体衝突説』を主張し続け、一切の反論を許さない。

でも、別の見方をすれば、彼らの理論を突き崩すのは簡単だった。「存在してはならないもの」を彼らの眼前に突きつければいい。その証拠を得る為に、一部の地学関係者はアステリアに注目していたの。

符号に秘められた宇宙の意図を読み取る

※ 上述の続き。疑問を投げかけるヴァルターに、ダナからアドバイス。

「マイニング社は今もブルーディアナイトを追いかけているのですか」

「そうは思わない。ブルーディアナイトの事は一握の人間しか知らないし、当時の関係者の大半は既にこの世にないから。ウェストフィリアに目を向けたのは、他企業と同じく、鉱業的ポテンシャルに目を付けたからでしょう。それに小天体衝突説の虚偽がばれて、今も必死に釈明してるぐらいだから、次はもうちょっとまともなやり方でアプローチするんじゃないかしら。現社長のロバート・ファーラーも、先代のドミニクに比べたら、まともな方だから」

「ウェストフィリアはどうです?」

「学術的にも、産業的にも、依然として興味深い場所であることに変わりないわ。本腰を入れて調査すれば、ブルーディアナイトに匹敵するものがいくらでも見つかるはず。イーサンがよく言ってたわ。『人間には想像もつかない方法でニムロディウムを凝集する何かが存在する』。それが山なのか、海なのか、私にも見当がつかないけれど、アステリアには、ネンブロットともトリヴィアとも異なる物質循環のシステムがあるのは確かよ。あなたならよくご存じでしょうけど、アステリアの海も広大で、調べても調べてもきりがないほど。科学的に判明している部分は数パーセントにも満たない。あなたもウェストフィリアに行くなら、ただ目の前のデータを追うのではなく、その符号に秘められた宇宙の意図を読み取ることよ。もっともこれはイーサン・リースの受け売りだけども」

Product Notes

宝石のスター効果(アステリズム)はこちらに詳しい解説があります。カボション・カットからどのように星彩効果が現れるか、図解で説明。

<スター石 Star stones と アステリズム Asterisum>http://www.nihongo.com/aaa/jewelry/stone/star/Star.htm

こちらの記事も参考になります。

スター効果(アステリズム)
http://www.istone.org/asterism.html

サファイアに関しては、こちらの記事など興味深いです。加熱・非加熱の違い、インクルージョン、品質の見分け方などが掲載されています。

http://www.suwagem.com/jp/dictionary/quality/book2-14/3.html

こちらは、様々な種類のインクルージョンが紹介されています。鉱物大好きになります。

http://srilanka-jewels.com/index.php?main_page=inclusion

こちらは光源によって星彩効果が現れる様子を撮影。溜め息ものの美しさです。

こちらはインクルージョン入りのカラーチェンジド・ガーネット。光の当たり具合によって、紫色がネオンのように現れるのを見て取ることができます。

こちらは非加熱のアレクサンドライト。光源によってパープルからピンクに色を変えるのが見事です。

紛争ダイヤモンドのドキュメンタリー。豊かな鉱物資源は決して地元民を幸福にしない。

興味があれば『ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄 (朝日文庫)』を読んでみて下さい。
映画『ブラッド・ダイヤモンド [Blu-ray]』もおすすめです。

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