クラウドストレージ『pCloud』の特徴
近頃では旧式のPCを高速化する為にSSDに換装する方も少なくないと思います。
しかしながら、SSDで大容量を確保するにはかなりのお値段になりますし、OneDriveやGoogle Driveなどのクラウドサービスを利用しても、ファイルが容量を圧迫することに変わりありません。
そこでおすすめしたいのが、pCloud。
↓ 月額3.99ドル~ですが、ライフタイムで購入した方が長期的にはお得です。
同じクラウドサービスでも、キャッシュを利用するので、容量が124GBや258GBしかないSSDでも『500GB~1TB』のエクストラ容量を確保することができます。
昔、『Bitcasa』という似たような容量無制限のクラウドサービスがあり、「ハードディスクを圧迫しない」が売りでしたが、ファイルの同期が即時に反映されない、操作しずらい、等々、いろんな問題があり、2016年にサービスを終了しました。
pCloudが登場した時も、Bitcasaの二の舞になるのではないかと噂されましたが、こちらは機能拡張しながら、順調に業績を伸ばしています。
筆者は、2016年、TOSHIBA Dynbook(2012年製造)に『SSD 250GB』を換装しましたが、ファイル保存に充分な容量とはいえず、pCloudを使うようになりました。
2017年、500GBの容量をを導入し、2018年、2TBのライフタイム版を購入。
特にトラブルもなく、トータルで4年以上、継続利用しています。
pCloudと仮想ドライブについて
仮想ドライブとは何か : One DriveやGoogle Driveとの違い
One DriveやGoogle DriveとpCloudの違いは何かと問われたら、前者は物理的にディスク容量を消費するが、pCloudは仮想ドライブである、という点でしょう。
たとえば、pCloudのデスクトップ版アプリをインストールすると、『コンピュータ』に、『pCoud Drive』という仮想の領域が作成されます。
この『500GB』という容量は、データのキャッシュ処理によって作り出された『計算上のスペース』なので、ハードディスクの中に、500GBの空き容量が追加されるわけではありません。
つまり、実質的な『500GB』のスペースは、オンライン上にあり、ローカル(PCやモバイル)からファイルを遠隔操作するような感覚です。
One DriveやGoogle Driveと大きく異なるのは、PC側でファイル共有した場合、それらがハードディスクにダウンロード+保存され、物理的に容量を消費するのと異なり、pCloudのファイルは全てオンライン上にあって、PCのハードディスクに保存されるわけではない、という点ですね。
たとえば、One Driveで共有すると、これらのフォルダやファイルは、実質的にハードディスクに保存され、ハードディスクの容量も消費します。
一方、pCloud Dirveは、仮想ドライブとしてコンピュータ内に現れ、ファイルリストもエクスプローラで通常表示されますが、これらは物理的にハードディスクに存在するわけではありません。全てクラウド上にあり、PCからエクスプローラを通じて、ファイルを呼び出す形になります。
その為、テキストやオフィスファイルなど、軽量なものはすぐに表示されますが、数GBもある動画ファイルや、写真フォルダの場合、ファイルにアクセスする度に、『キャッシュ処理→pCloudから呼び出す』というプロセスを繰り返すので、読み込みがやや遅くなります。
また、オフラインでは、『pCloud Drive』は消失し、PCやモバイル端末からクラウドのファイルにアクセスすることもできません。
ファイルの呼び出しを高速化する為、pCloudのアプリケーションはローカルに独自のキャッシュフォルダを作成します。
私も詳しい仕組みは分かりませんが、頻繁に使うファイルや、画像のサムネイルなど、全てキャッシュ化して、負荷を軽減するようです。
その分、ハードディスクを消費するといえば、その通りですが、仮想ドライブ 2TBに対して、10GBぐらいのキャッシュスペースがあれば、問題なく動作するので、容量確保の役に立つと思います。
オフラインでは使用できない
前述のように、仮想ドライブを通じて、クラウド上のファイルを呼び出すので、オフラインでは『pCloud Drive』は消失し、PCやモバイル端末からクラウドのファイルにアクセスすることもできません。
オフラインでもファイルを共有できる『オフライン設定』はありますが、「オフライン共有=ローカルにダウンロード+保存」になるので、オフライン設定できるファイルの数は限られます。
したがって、主な使い途は、「日常的に使わないファイルの置き場所」となります。
・ 動画、写真など、容量の大きいファイル
・ バックアップファイルや、プロジェクトの終了したファイル
・ 削除してもいいけど、念の為、保存しているアーカイブ
自動同期と共有について
デスクトップ版の基本の設定
デスクトップの基本の設定は下図のようになります。
Start pCloud Drive on system startup
「Windowsの起動時に、pCloudも自動的に起動する」
他のアプリを使って、「スタートアップの遅延起動」をすることもできます。
Show Context Menu
エクスプローラのコンテキストメニューにpCloudのオプションを追加する。
Show File Status icons
ファイルの同期の状態をアイコンで表示する。
Upload Screenshots
スクリーンショットを自動的にアップロードする
アカウント管理。
基本は英語メニューになりますが、複雑な設定はありません。
まだ1TBも空いてます。
Googleフォトが容量無制限になったので、予定が狂いました^^;
自動同期するフォルダを設定
ハードディスク内の任意のフォルダ、もしくは初期設定の pCloud Sync に自動同期のフォルダを設定することができます。
アプリの設定画面『Sync』でフォルダを指定します。
同期が完了すると緑のチェックマークが付きます。(同期中はブルーのくるくるマーク)マークの表示/非表示も設定画面で指定できます。
pCloudに保存するファイルはサイズや種類を選びません。
10GB以上のファイルでも、仮想ドライブの『pCloud Drive』にドラッグ&ドロップすれば、バックグラウンドで自動的にクラウドと同期してくれます。
他ユーザーとフォルダやファイルを共有する
外部のユーザーとフォルダやファイルを共有することもできます。
クラウドの管理画面(ブラウザ)
アカウントとファイルの復元
アカウントの管理画面。こちらも英語表記ですが、複雑な設定はありません。
過ってファイルを削除しても、90日間は、Trash(ゴミ箱)から復元が可能です。
プレミア契約すれば、『360日間』まで延長されます。
ファイルの管理と共有
クラウドのファイル管理画面は下図のようになります。カラフルで見やすいです。モバイルもほぼ同じ。
ファイル操作のオプションも最小限です。シェア、移動、削除、名前の変更、など。
共有リンクの生成。
共有リンクにパスワードやダウンロードの期限を設けることができます。
ユニークなのは、ダウンロード用リンクに画像を付けて、ブランド化できる点。
各リンクに対して、ダウンロードの量などをグラフで視覚化することができます。
サークルで、同人誌など販売している場合、トラフィックの状況を把握するのに便利かもしれませんね。
アップロード用の共有リンク。
無料お試しが20GB、永久的に使える
DropBoxやBoxなど、有名どころの無料お試しは数GBしかありませんが、pCloudの無料ストレージは20GBと太っ腹です。
しかも永久的に使えます。
ただし、端末にインストールできるのはPC一台につき、アカウント一つです。
ブラウザでファイル管理する場合は、複数アカウントでも同時にアクセスすることができます
(PCでアカウントAを使用中でも、ブラウザ経由なら、アカウントB、アカウントCなど、複数のストレージにアクセス可能)
ここはけっこう緩いので、複数メルアドで使い分けることも可能です。
有料ライフプラン 500GB~2TB
無料で20GB使えるのも魅力的ですが、ローカルに外部の容量を確保して、複数端末でファイル共有するなら、有料のライフプランがおすすめです。
年額のコースもありますが、ライフタイムの一括払いで500GB確保した方が長期的にはお得です。
ここはクリスマスやサイバーマンデーなどに割引セールをするので、とりあえず無料版に登録しておくと、案内メールをゲットできます。
年額コース
ライフタイム(欧州向けはかなり値引きしてます)
デメリットはないのですか?
ファイルの種類にもよりますが、共同編集するなら、WORD OnlineやGoogleドキュメントの方が便利でしょう。
ただし、WORD OnlineやGoogleドキュメントの場合、編集内容が即時反映されてしまうので、思わぬミスを招くこともあります。
面倒でも、「ローカルで編集」→「ファイルを共有フォルダにアップロード」した方が確実です。
内容の異なるバージョンもアーカイブ化して保存できるので。
前述のように、エクスプローラ(キャッシュ)を通じて、クラウドのファイルを呼び出すので、仮想ドライブや共有フォルダ内にファイルが貯まってくると、どうしても動作は遅くなります。遅いといっても、作業に支障をきたすほどの遅さではなく、一瞬、詰まる感じ。
私の環境では、フォルダの容量が5GBを超えたあたりから、エクスプローラのサムネイル表示に時間がかかります。
ただし、同じ5GBでも、テキストファイルと画像ファイルでは、一つあたりの容量がまったく違うので、テキスト系、オフィス系、PDFなどはまったく問題はありません。
ネックは、デジタル画像ですね。
たまに旅行写真を整理しようと、アルバムのフォルダにアクセスしたら、サムネイル表示に時間がかかるので、それだけがマイナス点ですね。
それでもローカル保存したら、あっという間にハードディスクの容量を食うので、やはりpCloudかな、という感じです。
Googleフォトの代用として
これまで『無制限』が売りだったGoogleフォトも、無料ユーザーに関しては15GBまでの制限が設けられることになりました。
引っ越し先として、『Google Drive有料版』『Amazonプライムフォト』『OneDrive』などが挙げられますが、デメリットは、月額制で、継続使用するなら、延々と利用料を払い続けなければならない点です。
たとえば、Google Driveで、2TBを確保しようと思ったら、月額1300円。年額15600円。
これが10年続くとしたら、軽く10万円を超えます。
ただ単にファイル置き場にするなら、4TBぐらいの外付けHDDを購入した方が安いですよね。
その点、pCloudは、2TBを永年使用できますから、長期的に見れば、かなりお得です。
確かに、大手のような利便はありませんが、オンラインで閲覧や共有ができるし、オフラインでも利用可能なので(ファイルかフォルダの設定)、単純に『持ち運びできる容れ物』としては便利なので。
ちなみに、pCloudでストレスなく使う秘訣は、なるべく細かにフォルダ分類して、一つのフォルダに保存するファイル数をなるべく小さくまとめることです。
流れとしては、「いったん、pCloudに保存」→「定期的に整理して、外付けHDDに移動」といったところでしょうか。
Googleフォトが使えなくて困った方はご一考下さい。
この記事は2020年に加筆修正しました