透き通るように小さな爪

透き通るように小さな爪
ユキちゃんの手。

生まれた時は、鶏の足みたいにシワシワで、
皮膚なんか今にも破けそうなぐらい薄かったのに、
今はおまんじゅうみたいにプリプリしているよ。

あんまり柔らかくて、温かいので、
いつも両のゲンコツにプチュプチュとキスすると、
甘いミルクの匂いがするんだな。

最近、ユキちゃんは、おしゃぶりが大好きで、
口からミルクの匂いが移っちゃうからだよ。

ママが今でも思い出すのは、
生まれたばかりのユキちゃんの指先に伸びた、
透き通るように小さな爪です。

こんなに小さな赤ちゃんなのに、
しっかり爪が生えているのに、
本当にびっくりしたのです。

と、同時に、
手も、足も、お腹も、頭も、
ちゃあんと揃って生まれてきてくれたんだなあと分かって、
ホッとしました。

もしかしたら、
指が一本、欠けてるんじゃないか、
腎臓が一個しかないんじゃないか、って、
そりゃあ心配しましたから。

ユキちゃんが生まれた時、
ママは何度も指の本数を数えたよ。
足の指が六本ぐらいありそうで、怖かったの。

でも、何回数えても五本で、ホッとした。

爪も生えていた。

ママは何もしていないのに、
君はちゃあんとお腹の中で育ってくれたんだね。

えらいね。

ユキちゃんが、優しくて、しっかり者であるのをいいことに、
ママは小さなユキちゃんに頼りっぱなし。

本当に助けが必要なのは、
ママの方かもしれません。

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