ウミガメ ~親の愛と子供の人生

ウミガメ ~親の愛と子供の人生

実際、砂利浜で語り合った後、二人は夜の帳が降りた海岸を寄り添って歩き、時々、立ち止まっては、一つ、二つ、瞬き始めた星を数えた。
あの夜はなぜかしら月が美しく、ふと遠い南の島で目にしたウミガメの産卵を思い出し、その様子をリズに話した。 

「満月がね、母親みたいに見守る中を、ウミガメの赤ちゃんが次々に卵から孵って、海を目指して一所懸命に歩み始めるんだ。誰にも何も教えられなくても、自分の故郷が海だということを知っているんだね」

「迷子になったりしないの?」

「そういう子もいるよ。人間の足ならほんの数十秒の距離でも、ウミガメの赤ちゃんにとっては果てしない道程だ。砂にまみれ、凹みに足をとられ、中にはそのまま力尽きて死んでしまう子もいる。だけど、みんな生きるために海を目指して歩み続ける。月も、人間も、ウミガメの母親さえも、どんなに助けたいと思っても、その子が自力で海に辿り着くのをじっと見守るしかない。生物の『愛』って、いつも側に居て世話を焼くのが全てじゃないんだな。多分、手出しもできずに見守る方がずっと切なく、厳しい。それでも、そうやって見守ってくれる人が居るから、子供も生きて行ける。俺の父親も今は夜空に浮かぶ月と同じだ。俺はただ必死に生きて行くだけ。本当にそれだけだ」

※ ↓ この文章はボツ

俺は時々、母親と喧嘩して、ステラマリスを出る時も、その手を振りきるようにして出てきた。それでも、あの人が俺を見守る気持ちは変わらない。こんなこと、いちいち照れ臭くて口にできないけど、俺が母親の愛情を一番感じるのはそういう時なんだよ。あの満月みたいにね。だから、俺も必死で生きてる。

引用元

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sanmarie*comに掲載していた【「親 死んでほしい」「親 殺したい」で検索する人が多いので】の電子書籍です。心理学者・河合隼雄の名著『家族関係を考える』で紹介された『内面的な親殺し』と、父親殺しを描いたギリシャ悲劇『オイディプス』の物語をベースに、なぜ「親 死ね」「親 殺したい」といった感情が芽生えるのか、乗り越えるには何が必要か、分かりやすく解説しています。
作品詳細と冒頭部の無料サンプルはこちら。https://novella.one/oya-book

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