人間ドラマ

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アイデンティティと自信喪失の時代 『ペレ 伝説の誕生』

現代というのはつくづく自信喪失の時代と思わずにいない。国をあげてワールドカップに熱狂するのも、単なるサッカー好きではなく、連帯の中に自己の帰属や基盤を再確認するからだろう。それはグローバル化が進み、フラットな世界に変じる未来も変わることはないと思う。

哀愁のジャズとマグナム『タクシードライバー』は何故に名画となりしか

トラヴィスの行為が良いか悪いかなど、ここでは論ずべきでない。動機や生き様を追求するのも、野暮というものだろう。トラヴィスは都会を彷徨い歩く影だ。若い時分に一度はすれ違う、甘い傷みに似ている。あなたは、永遠に心に刻まれた、孤高の影。

底辺にしか分からぬ感情がある シャーリーズ・セロンの映画『モンスター』

いよいよ全てを失い、誰にも相手にされなくなって、明日の生活も立ちゆかなくなったら、人は何を思い、どこに救いを求めればいいのか。 アイリーンの言動を見ていると、この世には、心の善悪も、能力の差もなく、ただただ境遇の差があるだけ――という現実を考えずにいないのである。

本当の『鬼畜』は誰? 松本清張の描く「子捨て」と「子殺し」

責任の一端は、無計画に愛人に子供を産ませた宗吉(=緒形拳)にもあるが、それでも、やっぱり、菊代の行動に首をかしげざるを得ないのは、あまりにあっさり『置き去り』にできる心理にまったく共感するところがないからだろう。

21世紀の正義と教育 ヒーローとは何か 映画『ローガン』

長期間、連載の続いたヒーローものをどう終わらせるかは案外難しい問題と思う。 梶原一騎の『愛と誠』みたいに、「終わったものは、終わったの! 続編もスピンアウトもあるかい!!」みたいに、本編の『完』で永遠に終わる作品もあれば、だらだらだらだら無駄な展開を繰り返し、とってつけたようなエピソードで収入を繋ぐ […]

法と支援の狭間 甘くない現実と愛の映画『チョコレートドーナツ』

どこかで社会問題が生じると、すぐ「支援」という言葉が飛び交うけれど、実際に支援の現場で、支援の必要な人たちに接していると、『善意』だけで物事は解決しない現実に直面し、言いしれぬ無力感や不条理感に陥るのが普通だと思います。 世間一般には何事も美談で語られ、都合の悪い現実からは目を背ける傾向がありますけ […]

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