電子書籍 一太郎とPDFでお洒落なビジュアルブックを作ろう

2017年2月26日

ジャストシステムの『一太郎』と高度なPDF作成・編集ツールを使えば、お洒落なフォトブック(詩集、写真集、イラスト集など)が簡単に作成できます。
Kindleで出版することも可能なので、興味のある方はぜひ試してみて下さい。


PDF作成・編集ツールは、安価で良質な製品もたくさんありますが、電子書籍を作るなら、「ページの挿入や順序入れ替え」「ブックマークの管理」「ヘッダー&フッターの挿入」など、高機能を有するワンランク上のツールが必要です(Adobeに匹敵するもの)。
お買い求めの際は、販売元の「機能比較」をよくご覧になって、買い損しないようにお気を付け下さい。
Adobe以外なら、PDF X-changer PRO、Foxit PhantomPDF、いきなりPDF Complete Editionなど。

画像いり電子書籍

きれいな写真や自作イラストを使った、お洒落なフォトブックやポートフォリオ、コミックと小説の中間的な電子書籍を作成したい場合、『Kindle Kids’ Book Creator 』を使えば、PDFから簡単にカラー版の電子書籍を作ることができます。

本来、絵本用のアプリですが、PDFをそのまま電子書籍に変換してくれるので、テキストがメインの作品でもまったく差し支えありません。

Amazonの紹介ページには「日本語対応」という明記はありませんが、PDFをそのまま変換するので、単純にプリントするなら日本語でOK。

Kindle Kids’ Book Creator

・子供向け絵本に、テキスト ポップアップなどの Kindle 端末や Kindle アプリに固有の機能を追加できます。
・PDF ファイルにページやテキストを追加できます。
・ファイル サイズが 650 MB までの本を作成できます。
・JPG、PNG、TIFF、および BMP 形式のイラストをインポートできます。また、PDF ファイルをインポートして変換することもできます。
・KDP で作成および出版した既存の本を修正できます。
英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語の多言語に対応しています。ツールの情報に関するページは英語で説明されていますが、ツールは各言語版で入手できます。
本を出版する前に、各種 Kindle 端末でどのように見えるかをプレビューできます。

★実例★

シングルページ

見開き

ページの見せ方はKindle Kids’ Book Creator でカスタマイズできます(縦向き+横向き、シングル+ダブルなど)

サンプル書籍のダウンロード

この記事で使用しているサンプル書籍と一太郎ファイルを無料でダウンロードできます。(jtd、pdf、Kindle mobiファイル)
ファイル名の欄で右クリックして、『ダウンロード』を選択して下さい。

MEGAフォルダを開く

なお、サンプル書籍に使用しているテキストは青空文庫「若山牧水 樹木とその葉」、画像はpixabayからお借りしています。あくまで参考として閲覧して下さい。

一太郎ファイル(jtd)は自由に改変して下さって構いません。練習用にご利用下さい。

作成までの流れ

1. 一太郎でベースとなるファイルを作成する(本文を優先、目次と表紙は後)

2. PDF出力(コンテンツの確認)

3. PDFツールで見栄えを整える(ページ順、ページ番号やフッターの挿入など)

4. 目次と表紙の作成(一太郎で再編集)

5. PDFで完成版を出力。

4. Kindle Kids’ Book Creator で電子書籍にする

PDFの出力は二度手間になりますが、「目次」と「表紙」は、メインのコンテンツが完全に整ってから、一番最後に作成します。

PDFで内容確認した際、ページの差し替えなどを行うと、目次も最初から作り直さないといけないので。

既存のPDFツールにも、各ページのブックマークから目次のようなものを作成する機能がありますが、縦書きには対応してないツールもありますし、自分でHTMLソースを編集するスキルがないと、かなり難しいです。

それよりは、一太郎のブックマーク機能を使って、改めてPDFを出力した方が、はるかに簡単です。(一太郎の方が、レイアウトやデザインも編集しやすい)
手間といっても、目次ページを作って、「PDF作成」をポチっとするだけなので、たいした作業ではありません。

手順はいろいろありますが、基本的に「メインコンテンツの完成」→「目次・表紙・中扉・奥付は後から」が一番分かりやすいと思います。

一太郎でメインコンテンツを作成する

まず、一太郎でベースとなるファイルを作成します。通常のファイル作成でかまいません。

その際、最初の数ページは目次や奥付用として空白で確保して下さい。いったんレイアウト枠を差し込むと、ページ単位の移動や挿入が困難になります。

文書スタイルは「A5」と仮定します。電子書籍の場合、そこまで厳密にこだわる必要はないです。(ユーザー側で文字サイズなどを調整する為)

サンプル版なので、用紙のマージンはぎりぎりまで詰めていますが、通常はもう少し上下の間隙を取って下さい。でないと、携帯端末のデバイスで、微妙に下方が隠れることがあります。

ページ番号を入れたい場合はフッターで設定しますが、この段階では厳密なものではありません。あくまでレイアウトの参考と考えて下さい。

今回は外しています。

レイアウト枠の作成(画像)

ページのレイアウトが決まったら、『枠の作成』で、画像とテキストのエリアを作ります。

しかしながら、一太郎の画像編集はまるで使い物にならない。

画像の位置、リサイズ、トリミングなど、数値に従って作業できそうですが、こんな基本の機能が備わっていません。花子フォトレトタッチと連携可能ですが、あまたのグラフィックエディタに比べたら遜色ありすぎ、です。

非常に面倒ですが、三段階の作業が必要です。

1. 最初にレイアウト枠を実験的に配置し、画像の大きさ、枠のマージンなどを確定。

2. グラフィックエディタで、画像のトリミングや画質補正などを行う。

3. 改めて文書内に挿入

いったんデザインが決まったら、あとは同じ手順を繰り返すだけなので、大変なのは最初のレイアウト設定だけです。

この部分さえしっかりやっておけば、あとはコピペで量産できるので、頑張りましょう。

*

画像枠の作成方法。

編集画面は『イメージ編集』に設定します(「印刷イメージ」だと枠線が表示されません)

『挿入』→『絵や写真』→『絵や写真の挿入』をクリック。

次のダイアログが現れたら『画像枠で挿入』を選択。他にも「画像サイズの設定」や「データサイズの縮小」など、いろんなオプションがありますが、詳細は実際のページを見ながらカスタマイズした方が分かりやすいので、最初は挿入だけでOK。

この場合、「固定」を選択。

編集画面を「印刷イメージ」に切り替えると、こんな感じ。

続いて、『枠操作ツールパレット』で枠の位置を調整します。マウスポインターでドラッグして、手動で移動も可能。

枠をクリックすると、自動的に『枠操作ツールパレット』が開くので、説明に従って自動調整するか、マウスポインターを使って、好みの場所に設置すればOK。「オプション」で並び替えをカスタマイズできます。

サンプルのように、用紙にぴったりと上揃えにしたい場合は、基準=「用紙」、「位置」=「上揃え」、「サイズ」=「幅揃え」をクリックすると、自動的に枠が伸縮します。

枠がページ上部に固定されました。この段階では、画像は不自然なままです。

そして、ここからが一太郎の恐ろしく不可解な所です。

画像をドラッグして位置合わせ、もしくは花子と連携して楽にリサイズなどできそうですが、これが出来ません。

一番確実なのは、レイアウト枠の数値を元に、グラフィックエディタでトリミングや画質補正を行い、再度、枠に貼り付ける。 二度手間になりますが、要領を覚えれば、次からは量産できるので、一つの解決策としてやってみて下さい。

手順。

枠内で右クリックをし、『枠飾りと文字の配置』をクリックします。

メニューの内容は個人でカスタマイズしているので、若干異なります。

「枠のサイズ」で大きさを確認します。この場合、枠幅=148mmは「用紙幅」と同じです。「高さ」は85mmとしました。

数値を確認したら、サイズ計算式・早見表 amana imagesで画像のピクセル数を計算します。

一太郎の場合、解像度のdpiは次の通りです。

高画質 350
推奨  200
個別  72 96 170 266 300 400 最大

続いて、グラフィックエディタを使い、挿入したい画像をリサイズ&トリミングします。

この場合、用紙幅=145mm=2039px 高さ=85mm=1171px  

一太郎に戻って、先ほど作成したテスト用のレイアウト枠で右クリックし、『画像の変更』を選択。
「画像枠のサイズ」で「変更後の画像のサイズにする」にチェックを入れます。

今度はピタリとはまりました。

画像に見出しや説明文を挿入したい場合、『画像枠の操作』で「説明文」→「下」に設定し、文字列を記入。

『段落スタイル』→『見出し』を選び、フォントの種類や大きさ、配置などを調整すればOK。

この場合、「中見出し」として設定。「段落間」→「段落上」にスペースを設けると、きれいに決まります。

(画像枠ではなく、本文のレイアウト枠の見出しとして設定してもOKです)

レイアウト枠の作成(本文)

次に、本文用のレイアウト枠を作成します。

『挿入』→『レイアウト枠』→『縦組み』とします。

ページ下方に合わせる場合、『印字領域』→『枠調整』→『下揃え』、『サイズ』→『横幅』にして、レイアウト枠の上部をドラッグで拡張すれば、十分なテキスト枠が作成できます。

あとは、「印刷イメージ」で実際のページを確認しながら、スタイル『本文』(『付けない』でも可能)→『スタイル変更』で、文字揃えやフォントサイズなどを調整するとOK。もしくは『レイアウト枠の操作』→「フォント・スタイル」で調整できます。

本文枠に見出しを付けたい場合は、『レイアウト枠の操作』で『見出し』を『上』に設定すれば、挿入できます。

これでベースのレイアウトは完成しました。

ページをコピーする

ここで一旦、ベースとなるファイルを保存します。名前は何でも構いません。

次に、「キー割付」もしくは「メニュー割付」で『編集』→『ファイルから貼り付け』を設定し、クリック一つでファイルコピーが出来るようにします。ここでは、『通常行(ショートカットメニュー)』に設定します。

次のページの通常行(空白)で右クリックして、『ファイルから貼り付け』を選択。

先ほど作成したベース・ファイルを呼び出せば、そっくりコピーされます。

あとは画像とテキストを置き換えるだけ。簡単にページを量産できます。

とりあえず連続的な文書が出来上がりました。ページの順番は最後にPDFツールで並び替えするので、一太郎の段階では神経質にならなくていいです。

PDFファイルの作成(内容確認)

文書ファイルが完成したら、『PDFで保存』、もしくは『印刷』→『PDF作成ツール』で、PDFファイルとして出力します。

一太郎プレミアムバージョンなら、「JUST PDF 作成」がアドオンとして組み込まれるので、そのまま『PDF変換』をすればOK。

それ以外のPDFツールを利用する場合は、『印刷』からPDF作成ツールを使って下さい。

ここでは、『PDF-XChange PRO』を使います。

まず、このままだとページ順が不自然なので、ストーリーに合わせて前後を入れ替えます。

ページサムネイルの並びを「右綴じ」にすることを忘れずに。

これで春夏秋冬と並びました。メインコンテンツの完成です。

目次・表紙の作成

メインコンテンツが確定したら、目次や表紙を作成します。

表紙に関しては、別個のファイルで作成した方が安全です。

PDFツールを使って、最後に表紙を挿入すればOK。

目次の作り方

一太郎にはデフォルトで『目次の作成』の機能が付いていますが、PDFツールでページの入れ替えをすると順番が変わってしまうので、自動作成は使わず、『ブックマーク機能』を利用します。

ページ内のブックマークを挿入したい場所にカーソルを置き、『挿入』→『ブックマーク』→『カーソル位置をブックマークに追加する』で設定します。これもキー割付しておくと、作業がはかどります。(この場合、画像の見出しに設定)

次に、白紙ページに目次を作成します。レイアウトなどは好みで構いません。『段落属性』でスタイルを記憶すると、簡単に複写できます。

それぞれの項目に、各ブックマークを当てます。

ブックマークの挿入後、PDFでページの入れ替えをしても、ブックマーク自体が損なわれることはありません。

目次が整ったら、再度、PDFで出力します。

PDFツールでも、ブックマークが確認できます。

表紙を作成する

表紙の作り方は、本文と同じ、レイアウト枠を活用すれば簡単にできます。

操作ミスを防ぐため、別個ファイル、もしくは別シートで作成した方が安全です。

レイアウト枠をページ全体に設けて背景となる画像を挿入し、その上から、タイトルや著者名のレイアウト枠を確保します。
完成したら、PDFで出力。

『ページの挿入』で表紙ファイルを指定し、結合します。

奥付や中扉なども別個ファイルで作成し、後からPDFツールで挿入した方が安全かもしれません。

ページ番号を入れるには、二通りあります。

1. 一太郎で「表紙・目次・コンテンツ」と全て配置し、一太郎でナンバリングを行って、PDFに出力

2. PDFでコンテンツを完成してから、PDFツールのフッター機能を使って、ナンバリングを行う

このあたりの手順は、各自の分かりやすいようにアレンジして下さい。

電子書籍の場合、ページ数より、ブックマークで確実に目的の見出しに飛べる方が重要です。

Kindle Kids’ Book Creatorで電子書籍を作成

書籍の内容(PDF)が完成したら、Kindle Kids’ Book Creatorをインストールします。(Amazonサポートで配布)

『新しい児童書を作成』をクリック。

必要な書籍情報を入力します。「使用する言語」の中に「Japanese」は含まれないので、とりあえず「English」に設定します。
出力する時、自動的に日本語を認識してくれます。

レイアウトを決定します。今回は「横向け」「一度に1つの画像を配置」を選択します。「1つの画像」というのは、一ページのことです。

「PDFから本全体をインポート」を選んで、「PDFから本を作成」をクリック。

ここで最終確認ができますので、ページの差し替えや削除が必要な場合は、「ページを追加」「ページを削除」で調整します。

最後に、『ファイル』→『出版用に保存』をクリックして、mobi形式に出力。

あとは各自のデバイス、もしくはAmazon Kindle Previewerなどを使って、見栄えを確認します。

自分の思うとおりに表示されない場合は、Kindle Kids’ Book Creatorでの出力の仕方を変えてみて下さい。

まとめ

一般に電子書籍というと『KindleGen』を使って、テキストベースで出力するのが一般的ですが、Kindle Kids’ Book Creatorを使えば、ビジュアル入りの綺麗な書籍が作れるので、写真やイラストを使った小冊子におすすめです。ただしKindle Paperwhiteなど、デバイスによっては白黒表示になります。

一太郎とKindleGenもそこそこに相性がいいですが、目次のレイアウトが崩れたり、表示がいまいちな時があるので、テキストベースの書籍でも、「PDFからKindle Kids’ Book Creator」を試してもいいかもしれません。

Kindleに関しては、これからますますツールが発達するでしょうし、そのうち「音声入り」「動画入り」の書籍も簡単に作れるようになるかもしれませんね☆

PDFツールについて

PDFツールに関しては、どこのメーカーも「標準版」「高機能版」と二種類用意しているのが常です。

標準版の場合、オフィスファイルからPDFを作成したり、コメントを記入したり、最低限の機能は備わっていますが、ページの差し替えやブックマーク、セキュリティやJavaScriptの埋め込みなど、ワンランク上の機能を求めるなら、やはり高機能版を購入しないと役に立ちません。

私は10年以上、Tracker Softwareの『PDF X-changer シリーズ』の一択で、電子書籍にはPRO版を使用しています。値段はそれなりにしますが、Adobeより安くて、機能的にはほとんど遜色ありません。「ライセンス3年分」を購入すれば、多少の割引はあります。

変にけちって、最安値の商品を購入しても、後々、「あの機能が欲しい」となった時、結局、別の商品を購入する羽目になったり、ネットでフリーウェアを探し回っても、これぞと思うものは見つからなかったり、時間とお金を無駄にする確率の方が高いので。

PDF X-changerについては、ジャングルから『PDF-XChange Editor Pro5』から日本ユーザー向けにカスタマイズされた製品が出ています。ダウンロード版なら5378円ですが、本家のPro版と微妙に機能が違うので、興味のある方はこちらから確認して下さい。

https://www.tracker-software.com/pdf-xchange-products-comparison-chart

他に有名どころでは『Foxit PhantomPDF』『いきなりPDF COMPLETE Edition』があります。

X-ChangerとFoxitには無料体験版がありますので、自分のやりたい事ができるか、試してみて下さい。

ジャストシステムから『JUST PDF 3 [作成・高度編集・データ変換]』も出ていますが、これに1万円も払うならX-Changerを購入した方が賢明かと。

ちなみに一太郎プレミアム版に含まれる「PDF作成・編集」は基本機能しか含まれません。(印字は綺麗です)

一太郎と高機能PDFツールを使って電子書籍を作成するなら、『一太郎2017 特別優待版(標準版)ATOK含む』+『PDFツール』が値段的に妥当ではないかと思います。

標準版もプレミアム版も、一太郎やATOKの機能は全く同じです。(プレミアム版には辞書やフォントが付いてくる)