『XMind』といえば、オープンソースのマインドマップとして有名ですが、小説のプロット構築やアイデア整理にも便利です。
無料と有償版がありますが、無料版でも十分過ぎるほどの機能が備わっているので、他のライティングツールがいまいちしっくりこない方は、ぜひお試し下さい。
XMind2020
https://www.xmind.net/xmind2020/
XMindで何が出来るのか
執筆で一番困るのは、
『ちらと思い付いたことを片っ端から書き留める』→『後で整理して、体系化する』
『RPGのように様々な展開を考える』 → 『一番納得のいく筋書きと結末を選択する』
その過程で、「各キャラクターの役割」「鍵となるアイテム」「謎解き」など、メモすべきことは多いですし、資料やアイデアも枝葉のように広がります。
それをテキストエディタやアウトラインプロセッサに箇条書きにしても、流れを見失うことが多いし、『第二、第三の結末』『思わぬ展開』に自分自身が対応できず、話が空中分解する恐れもあります。
そうした「プロットの迷宮」に迷い込まない為にも、アイデアや資料(鍵となる情報)を視覚化し、それぞれに関連付けて、一つの大団円に持っていく作業は必須です。
ちなみに、こちらは、話の格となるイベントやアイテムについて、縦に展開したもの。
各コマは経時的に連なっていて、「そのイベントが引き起こした事」「展開」「結末」をアイデア書きしています。
こちらはキャラとイベントを相関図にしたもの。
各イベントとキャラクターがどのように関わり、何を引き起こすか、横方向に展開しています。
表示は、500%まで拡大でき、縮小版のマップが提示されるので、どれほどツリーが広がっても、位置を見失うことがありません。
また、一つのトピックを別ファイルに分離して、そこから新たにツリーを拡げることも可能です。
最初は戸惑うかもしれませんが、アイデアの書き出しと視覚化には非常に便利なツールなので、興味のある方はぜひ試してみて下さい。
設定も簡単、基本的に使うのは、Enter(トピックの作成)と Tab(子トピックの作成)、Shift + Delete (トピックの削除)ぐらい。
あとはマウス操作で、枝葉の移動や入れ替えもできるので、すぐに使いこなせますよ。
基本の設定
まず、全体の設定をします。
上部のメニュー 『編集』 > 『設定』を開きます。
基本の設定は、「外観」「表示言語」「デフォルト拡大倍率」「デフォルト日中韓フォント」「ウォーターマーク」「解析を共有」の5点だけです。
ショートカットも変更できます。慣れてきたら、使いやすいキーに置き換えましょう。
マップのスタイルと色合いを設定
最初に、中心となるトピックスが自動作成されるので、右パネルを開き、『スタイル』 からツリーの形を選択します。
マップの作成途中に構造を変更することも可能です。
続いて、マップの色合いやトピックの幅、テキストのフォント、ブランチの線種や色合いを設定します。
マルチブランチのカラースキームも五種類用意されています。
デザインが分からない人は、『マップ』 > 『すべてのテーマ』をクリックして、テンプレートを参考にしましょう。
数種類のテンプレートが表示されるので、その中から、自分のイメージに合ったものを選択します。作成途中で変更も可能です。
マーカーとステッカーを利用する
右パネルの上部に、ニコちゃんマークと、ブラシのアイコンがあります。
ニコちゃんマークをクリックすると、『マーカー』『ステッカー』のパネルを呼び出すことができます。
基本のマーカーはこんな感じ。
ドラッグ&ドロップで、各トピックに挿入することができます。
基本のステッカーはこんな感じ。「ビジネス」「教育」「Emoji」「動物」「天気」「旅行」「その他」と、無料版でも豊富な種類があります。
メニューについて
『ファイル』に関するメニュー
『ファイル』では、ファイル操作に関する項目が表示されます。
「新規作成」「新規タブ(同一画面のタブに新規ファイルが作成される)」「保存」「印刷」などです。
「最近使用したファイル」で必要なファイルを一斉に開いた後、『表示』 > 『すべてのウィンドウをマージする』をクリックすれば、別々に開いたファイルが一つのウィンドウにまとまり、タブで表示されます。
『編集』に関するメニュー
『編集』では、「元に戻す」「やり直し」「切り取り」「コピー」「貼り付け」といった基本操作に関する項目が表示されます。
基本操作はショートカットキーを充てた方が早いです。
『挿入』に関するメニュー
『挿入』では、各トピックに対し、「トピックの挿入」「メモ」「ラベル」「リンク」「マーク」「ステッカー」など、挿入することができます。
特に「トピック」に関しては、ショートカットキーを活用した方が早いです。
『ツール』に関するメニュー
『ツール』では、「XMindファイルを結合」「テーマの作成 / カスタマイズ」が可能です。
ほとんど使うことはないですが。
『表示』に関するメニュー
『表示』では、「マインドマップ / アウトライナー」の切り替え、「拡大・縮小」「ZENモード(全画面表示)」「各パネルの表示」など、ビューに関する操作ができます。
『アウトライナー』は、作成したマップをテキストで階層化したものです。
無料版の場合、WORDやExcelといった、他のファイル形式のエクスポートが出来ないので(インポートも同様)、テキストで階層化しても、他のツールで応用できませんが、流れを見るだけでも参考になりますね。
ちなみに、執筆には、デュアルモニターが便利ですよ。
セカンドモニターにXMind、メインモニターでテキストエディタを使えば、いちいちウィンドウを切り替える必要がないので。
https://www.xmind.net/xmind2020/より
XMindを有効活用するコツ
とにかく、思い付いたことは片っ端から書き出して、メモすることです。
途中で不要になれば、トピックの色や背景色を変えて、自分なりにマークすればいいですし。
特に重要なものは、新規タブに立ち上げて、更にブランチを拡げればいいし。
会社でプレゼンテーションするわけじゃなし、見た目にこだわらず、どんどん書き出せばOK。
頭に浮かんだことを、文字化、視覚化すれば、だんだんテーマが固まって、必要な設定、不要な展開、いろいろ分かってきます。
その過程で、必要な資料に目を通し、一つ一つのイベントやアクションに納得いく裏付けをすれば、誰もが納得のストーリー展開になるわけで、このプロセスを吹っ飛ばして、「主人公は善人であるべき」「悪役は死ぬべき」みたいな、「最初に結論ありき」に強引に持っていこうとするから、独り善がりな展開に終わってしまうのだと思います。
いろいろ書き出す中で、「悪役が、実はガミラス星のデスラーみたいに、もう一方の側から見れば優秀なリーダーだった」とか、「キングの死因は毒殺だったが、この展開なら、闇の刺客に襲撃される方がドラマティックではないか」とか、自分で思いも付かなかった展開に至ることは多々ありますし、そこを柔軟に切り替えていくのが、プロット構築のポイントだと思います。
私も、プロット立てるのは超面倒くさいタイプで、基本的に「キャラにお任せ」なんですけど、たまには違うやり方をするのも一興かと思い、マインドマップを使ってみた次第です。
Scrivenerも悪くはないですが、『縦横に枝葉を拡げる』という点で、アウトライン機能に限界があるんですね。
あるいは、Scrivenerは、ほとんどプロットが固定した第二段階で導入するツールなのかもしれません。
何にせよ、Scrivnerは有料ツールなので、まずは無料のXMindから始めてもいいかも。
最初は「トピックの作成 / 移動 / 削除」が思うようにいかなくて、イラっとするかもしれないけど、慣れたら非常に便利ですよ。